日本の歴史的勝利の一方で、失望に暮れるインドとマレーシア/アジア大会

2018.09.03 20:56 | 日本代表

第18回ホッケーアジア大会は男女揃って初優勝を飾り、歴史的な大会になった。

日本が喜ぶ一方で、負けたチームの悔しさは計り知れない。

ジャカルタに満開のさくらを咲かせた「さくらジャパン」 出典元:https://www.facebook.com/asiahockey/

ジャカルタに満開のさくらを咲かせた「さくらジャパン」

出典元:https://www.facebook.com/asiahockey/

アジア大会は4年に一度の大きな大会。
オリンピック開催年の2年前に行われ、「アジア版オリンピック」と呼ばれている。

ホッケーはオリンピック出場資格獲得の方法の一つに、アジア大会優勝が定められている。
アジアの戦いで優勝すれば、オリンピック出場資格が得られるため、非常に重要な大会なのだ。

今大会は2020年東京オリンピックの出場権がかかっていたが、男女ともホスト国として既に出場資格を持っている日本が優勝したため、アジア大会でオリンピック出場権を獲得した国は誕生しなかった。
今回、出場権を得られなかったアジアの国々はまた別の大会でオリンピック出場権の獲得に挑むことになり、険しい道のりになる。

男子インド、オリンピック出場はいばらの道

男子インド代表(世界ランク5位)はアジア大会に出場した12チームの中で群を抜いて世界ランクが高い。他のチームは10位以降だが、インドは世界でも5本の指に入るチームだ。前回アジア大会で優勝を飾っている。
インド国内でホッケーへの関心も高く、代表チームへの期待も大きい。

それだけに、準決勝戦でマレーシア(12位)にSO戦で敗れ、3位決定戦に回ってしまったことは痛烈に批判されている。

インドの新聞『INDIAN EXPRESS』ではShock(ショック)とHockeyをかけてSHockey!とマレーシア戦の敗北を伝え、試合内容を厳しく評価した。
"パスは合わず、ペナルティコーナーからの機会は乏しく、両サイドのウイングはスポーツの基本的なルールを忘れ、最初のマレーシアの同点弾の時、インドのミッドフィルダーとディフェンダーは(アラビア半島とアフリカ大陸を分断している)紅海のように真っ二つに分断してしまった"
"費用を惜しむことなくコーチやマネージャーを雇っているが大舞台でチームはまだ低迷し続けている"

さらに、インド代表の監督の解雇に踏み切るかもしれない、この試合の敗北は非常に大きな問題である、と報道。
Singh Harendra監督は「2020年東京オリンピック出場へはいばらの道になってしまった」
「アジア大会に優勝して出場権を獲得することは最も簡単な方法だった。私たちは愚かな過ちのために犠牲を払わなければならない。私や選手にとっては挫折ではないが、ホッケーにとっては挫折だ」

引用:INDIAN EXPRESS|"SHockey! Indian men's team goes down against Malaysia"

男子マレーシア、ファンに謝罪

男子マレーシア代表は決勝戦で日本と対戦。60分間の試合では6-6と決着がつかず、SO戦にもつれこみ、日本が勝利した。

50分まではマレーシアが5-2とリードしていたが、ラスト10分で日本が4得点を決め同点に追いついた。
マレーシアにとっては一時、3点リードで勝利が見えており、あと一歩のところでオリンピック出場権を取り逃がしたために、観客の悔しさも大きかった。

マレーシア代表のStephen van Huizen監督は決勝戦後、観客に謝罪し、チームの敗北のすべての責任を取ると発言した。

「監督としての責任を取ります。それが私の職務。私は失敗をした。選手は全てを出し、私は選手を責めることはできない」
「私たちはアジア大会の金メダルとオリンピックへの切符を獲得する自信があったが、それを捨てた。私たちは非常に失望し、本当に残念に思っています」
「銀メダル獲得は他のタイミングだったら良いかもしれないが、今のタイミングでは受け入れがたく、苦い経験だ」

引用:THE Star ONLINE|"Coach Stephen will take the stick for hockey teams final meltdown"

準優勝を飾るもオリンピック出場権を獲得できなかった男子マレーシア代表に笑顔はない。 出典元:https://www.facebook.com/MalaysianHockeyConfederation/

準優勝を飾るもオリンピック出場権を獲得できなかった男子マレーシア代表に笑顔はない。

出典元:https://www.facebook.com/MalaysianHockeyConfederation/

女子インド、「オリンピック出場権が得られないことは残念」

女子インド代表(世界ランク9位)は20年ぶりの決勝戦進出のため、男子インド代表よりは明るい報道だ。

女子インド代表のSjoerd Marijne監督は「もちろん非常にがっかりしている。今度は別の6試合を行わないといけないかもしれない」
「総合的に言えば、選手たちはアジア大会のパフォーマンスを誇りに思うことができる。彼女たちは20年間決勝戦には行けなかったんだ。負けたけれど、笑顔でいることが許されるでしょう。私たちは常に勝つことができ、今日よりももっとチームは良くなると信じている」と話した。

今後に向けてSjoerd Marijne監督はペナルティーコーナーを改善すると話した。

「私たちはこのトーナメントを通し、守備の面でも良かった。韓国や中国に対しては本当に良くプレーした。今後、私たちはPCのコンバージョンとフィールドでのチャンスをものにできるよう取り組んでいく必要がある」とコメントした。

女子日本代表「さくらジャパン」のアンソニー・ファリー監督もインドのプレーを称賛。
「今夜のインドのプレーは本当に良かった。インドのプレーによって私たちの本来の力を出せなかったが、欲しかった結果を手にすることができた。(1か月半前の)ワールドカップでのベルギー戦の痛みを和らげている」と話した。

引用:THE Indian EXPRESS|"Asian Games 2018: It is a silver won but not qualifying for Olympics big disappointment, says Sjoerd Marijne"

9月2日の夜に行われたアジア大会閉会式では、女子インド代表キャプテンのRani選手がインドの旗手を務めた。

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