2019.06.15 10:14 | 日本代表
男子日本代表サムライジャパン(世界ランキング18位)は14日(金)、FIHシリーズファイナル・インド大会の準決勝でインド代表(5位)と対戦。2-7で敗れた。(1-2/1-2/0-2/0-1)
相手は世界ランキング5位に名を連ねる強豪国インド。
インドは東京オリンピック最終予選の出場権獲得のために「必ず勝たなければならない試合」だった。
カリンガスタジアムには熱狂的なインドのホッケーファンが集まり、まさにアウェイの状況で試合が開始した。
開始2分。インドのファンの期待を裏切り、先制点を奪ったのは日本。
田中健太のサークル内へのスルーパスを北里謙治がダイレクトヒットシュート。
今大会の通算ゴール数100ゴール目となった節目の一撃で、日本が先制パンチを与える。
この1点でインドの攻撃陣に火が付いたのか、スピードに乗った巧みなドリブルと日本選手もろとも打ち抜こうかという強烈なパスで日本に攻め込み、インドはPCを獲得。
7分には国際大会出場数100試合目に達したHarmanpreetがペナルティーコーナーのドラッグフリックでゴール。
14分にもペナルティーコーナーを獲得したインド。
これをKUMARがドラッグフリックで決めて、試合をひっくり返し、1-2で第1クオーターを終える。
第2クオーターに入り、日本の攻撃陣も負けじと攻め込む。
20分に村田和麻が左サイドを崩し、サークルエンド際から中パス。
これを渡辺晃大がダイレクトで押し込み、2-2の同点に追いつく。
ここから勢いに乗りたい日本だったが、試合の主導権はインドが握り続ける。
23分にRamandeepがタッチシュートを決めたのを口火に、試合終了まで攻めの手を緩めることなく、ゴールを量産。
両チーム合わせて9つのゴールが生まれた「パーティータイム」であったが、そのうちの7ゴールがインド。
2-7というスコアで勝利したインドが決勝進出を決めた。
得点者
2分 FG #11 北里謙治 (ALDER 飯能)
7分 PC #13 SINGH Harmanpreet
14分 PC #22 KUMAR Varun
20分 FG #31 渡辺晃大(福井クラブ)
23分 FG #31 SINGH Ramandeep
25分 FG #8 SINGH Hardik
37分 PC #31 SINGH Ramandeep
43分 FG #71 SINGH Gursahibjit
47分 FG #32 PRASAD Vivek
↑試合中、身体が激しく衝突した山下学とRamandeep。霧下、山下が担架で一時退場するほどインドは激しいデュエルを挑んできた。
この試合では両チーム合わせて9ゴール。
そのうち、インドがドラッグフリックであげた2ゴール以外の7つのゴールは、すべてワンタッチシュート(パスをレシーブせずにそのまま打つシュート)でのゴールだった。
インターナショナルレベルの試合ではサークル内でレシーブをしてからシュートを打つほどの余裕がないことが多い。
日本の2ゴールも素晴らしいワンタッチシュートだったが、インドにおいてはそのシュートを打つ回数もクオリティも、日本のそれをさらに上回るハイレベルなものだった。
ワンタッチシュートで2ゴールをあげたRamandeep↑
裏を返すと、日本はシュートチャンスを与えてしまう守備に問題があった。
身体を張ってシュートを防ぐ勇敢な場面もあったが、インド攻撃陣の方が日本の守備陣より先にボールに触れる位置にいる場面が多かった。
自分が責任を持つべき相手選手に対するポジショニング、あるいはルーズボールの予測・反応など、もう一段階レベルをあげなければ、世界トップ10の国々と対戦した際にゴールを守ることは難しいだろう。
もう1点、この試合で目立ったのは日本に出された警告の多さだ。
イエローカードとグリーンカードが2枚ずつ、合計4枚の警告が与えられた。
インドのホームゲームということもあり、審判がインド寄りになる可能性は試合前から予想されたし、村田にグリーンカードが与えられた場面は日本のゴールが決まったかと思われたシーンで、思わず抗議したくなる判定だった。
しかし、ライブ配信中の実況・解説者がたびたび「日本の選手は審判に不必要な場面でも不平を言っている」とコメントしていたように、試合を通じて審判と日本チームの関係性は良い状態とは言えず、さらに言うと大会を通じてその傾向にあるように感じている。
言葉で審判と良いコミュニケーションを取ることができるのであればそれをすべきだし、たとえ言葉は通じなくても、表情や仕草でもコミュニケーションをとることは可能だ。
試合中はもちろんだが、試合前のウォーミングアップ中や、試合終了直後に握手を交わすとき、また大会期間中、試合以外の場面でも審判とコミュニケーションを取るチャンスは多くある。
審判とコミュニケーションを取ることは競技力を高めていくためにも、試合をより良いものにしていくためにも有効であり、もちろん、試合で勝利するために必要な戦略でもある。
今後、東京オリンピックに向けて国際的なイベントが続くが、そういったイベントに選出されるレベルの国際審判員はオリンピック本番でも笛を吹く可能性は高いだろうし、いつ日本の試合を担当するかはわからない。
長い目で見て、コーチングスタッフも含めて、審判団と良い関係性を作る努力を積み重ねていくことが重要となってくるだろう。
もう一方の準決勝ではアメリカと南アフリカが対戦し、1-2で南アフリカが勝利した。
Bグループの予選リーグでは、アメリカ、日本に敗れた南アフリカだったが大会終盤にかけて調子を取り戻し、決勝進出。
決勝進出を決めたインドと南アフリカは2019年10~11月のオリンピック最終予選への出場権利も手にした。
(南アフリカが2019年8月のアフリカ大陸大会で優勝した場合はその時点で五輪出場が決定し、最終予選への出場枠は他の世界ランキング上位国に与えられる)
予選リーグで振るわなかった南アフリカだが、最終的に決勝にコマをすすめてくるあたり、今大会出場国の中で世界ランキングがインドに次ぐ2番目(16位)の実力を示したと言えよう。
決勝では完全アウェーとなるインドとの一戦、どのような戦い方で挑むのか、注目したい。
3位決定戦に進んだ日本は6月15日(土)の日本時間20時30分からアメリカと対戦する。
予選リーグで対戦した際は日本が攻め込み再三チャンスを作りながらゴールが遠く、2-2の引き分けとなった相手。
試合は下記リンクでライブ配信予定となっている。
https://fih.live/view/event/48574
勝って終わるか、負けて終わるか。
今大会の集大成として、敗戦後のレジリエンスに注目し、また、審判との関係性なども含めて今後につながる試合を期待したい。
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