まだ誰も見たことがない世界を見ている男 ホッケー男子代表・田中健太

2020.12.11 16:00 | 海外

もう一つの顔

世界最高峰の舞台で選手として活躍しながら、田中は母校・立命館大のコーチという「指導者の顔」も持つ。今年はコロナの影響によるオランダリーグの中止・中断によって日本国内で過ごす時間が増え、学生の指導にかけられる時間も増えた。現場での指導はもちろん、オランダ滞在中はオンラインミーティングを実施するなど「遠隔指導」も行ってきた。

とはいえ、現役選手としても活動しているため、付きっ切りの指導はできない。あくまで「選手自身が考えて、選手たちが自分で選択していく」というスタイルでコーチングをしており、「選手たちの選択肢を持たせるための知識を与えている」という。

11月のインカレ ベンチで指示を出す田中(提供=田中健太)

その指導が実を結び、立命館大は11月の全日本学生選手権(インカレ)で6年ぶりの優勝を果たした。さらに12月の全日本選手権では1回戦、準決勝と社会人の強豪チームを破って決勝戦に進出。決勝で敗れはしたものの準優勝という好成績を残した。

6年ぶりのインカレ優勝を達成した(提供=田中健太)

日本ホッケーの未来を変える

「母校を強くしたい」という想いはあるが、根底には「日本代表を強くして常にトップ5に入るチームを作っていきたい」という田中。ホッケーをさらにメジャーにしたいという気持ちも強く、「まずはメディアに取り上げてもらうこと。メダルを取る、結果を残すことで認知度は高まるはず」と語る。

ただ、盛り上がりが一過性のものとなってしまうことも危惧している。「各地方でホッケー体験を開いていきたい。選択肢の一つしてホッケーがある状況を作れたら選んでもらえる可能性も高まると思う。子どもたちにホッケーを知ってもらう、体験してもらう場を増やしたい」と未来を見据え、普及活動にも力を入れている。

コロナの自粛期間中には日本ホッケー協会のトップスポンサー、損保ジャパンのダンス企画に参加したり、12歳以下日本代表選手たちとのオンライン交流企画に出演するなど、普及活動にも積極的に協力した。

2020年4月損保ジャパンの「おうちにいようプロジェクト」に参加した田中(写真下/提供=損保ジャパン)
2020年5月「U-12ホッケードリームキャンプNEXT」に出演し、子どもたちと交流した(写真左上から2番目/提供=日本ホッケー協会)

唯一無二の存在に

田中が尊敬するアスリートはイチローと三浦知良。彼らは子どもたちの憧れの的であり、「唯一無二の存在」として野球界、サッカー界をリードしてきた。
トップ選手として活躍しながら、指導者としても歩みを進める田中は日本ホッケーの「唯一無二の存在」になりつつある。田中の活躍が日本のホッケーを変えていく。そんなストーリーをファンは待ち望んでいる。
(文・藤本一平)

プロフィール

田中健太のプロフィール
生年月日:1988年5月4日
血液型:A
身長:173cm
体重:69kg
出身地:滋賀県
出身校:春照小学校/伊吹山中学校/天理高校/立命館大学
日本代表CAP数:154(2020年12月10日現在)
モットー・座右の銘:一所懸命
(2019年の五輪テスト大会「READY STEADY TOKYO」の選手プロフィールより)

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