【コラム】男子ホッケー日本代表主将・山下学 ドイツへ渡る 第3回

2021.01.20 15:00 | 海外

新型コロナウイルス感染症の影響で東京五輪の開催が2021年夏に延期となった。通常のホッケー競技の国際大会はベンチ入り人数が18名。しかし、五輪はベンチ入り可能人数が16名と狭き門で、この1年の延期がプラスに働く選手もいれば、そうでない選手も出てくるだろう。
自身を高めるべく、ひとりのサムライが海を越え、ホッケー大国・ドイツ(記事公開時の世界ランキング6位)の地へ渡った。コロナ禍で挑戦をつづけるホッケープレイヤーの姿を追う。(全3回で構成するコラムの第3回)

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渡航

長年、希望していたヨーロッパクラブへの移籍。ドイツリーグ(ブンデスリーガ)1部のクラブ・ニュルンベルガーへのレンタル移籍が決まった男子ホッケー日本代表サムライジャパン主将・山下学(31)。コロナ禍での渡独はすんなりとはいかず、一度は成田空港から出国できなかった苦労話などを第2回の記事で紹介した。苦労を乗り越え、ドイツに渡った山下。到着直後からオランダ遠征が待っていた。

オランダツアー

通常、ドイツリーグのシーズンは9月に開幕し、11月~3月中旬頃までのウインターブレイク(インドアホッケーのシーズン)を挟み、3月下旬から5月下旬までの開催日程となる。しかし、コロナの影響で昨シーズンから変則日程が組まれており、2019年9月から11月を前半戦、20年9月~から11月を中盤戦、21年4月~6月を後半戦とする3期で開催することとなった。

山下は2020年9月からの中盤戦に参戦。中盤戦開幕前の8月18日(現地時間)にドイツ・フランクフルトに到着し、息をつく間もなく、チームに合流した。

山下にとって最初の練習試合となったオランダ遠征では世界最高峰と言われるオランダリーグ(フーフトクラッセ)の2部チームと3試合のトレーニングマッチ。オランダリーグで活躍する田中健太(32=HGC。山下と同い年の日本代表候補選手)が観戦に訪れ、今後のお互いの健闘を誓い合った。

2部のチームと言えども「力はある」と田中から聞いていた通り、山下は「オランダは2部でも上位は強い」と感じつつ、チームのスタイルに慣れていった。

観戦に訪れた田中(左)と山下/提供=山下学

ハンブルグ遠征

山下は8月最終週のハンブルグ遠征にも参加し、このときはドイツ2部でプレーする飯高悠貴(30=THK Rissen)が観戦に訪れた。

中盤戦開幕前のいわゆるプレ・シーズン。山下はチーム合流直後から試合に出場し、「チームとしての仕上がりはよかった」と手応えを感じていた。

ニュルンベルガーは18/19シーズン、1部12チーム中10位で2部への降格をぎりぎり免れたチーム。19/21シーズンは1部残留、そして1つでも順位を上げたいという想いで9月からの公式戦がスタートした。

ハンブルグの強豪クラブ・ハルベステフーダー(Harvestehuder THC)のヘッドコーチ・ベッシュマン(Christoph Bechmann)と/提供=山下学

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