2021.07.15 11:30 | 日本代表
この記事ではホッケーの主なルールをご紹介します。ホッケー競技規則・ホッケー競技運営規定などの詳細は日本ホッケー協会の規定のページをご覧ください。
国際大会をはじめとした大会は、各15分の4クオーター制(計60分)で実施されます。1Qと3Qの後は2分間、2Q終了後は10分間のハーフタイムが設けられます。
決められた時間内で得点を多く取ったチームが勝者となります。シュートが決まると1点です。0対0の拮抗した試合になることもあれば、5対3のような点の取り合いになることもあります。サッカーと同じくらいのスコアになることが多いです。同点の場合はサッカーのPK戦にあたるSO(シュートアウト)戦が行われ、5名ずつのシューターによって争われます。
出場登録選手は、1チーム18名※。フィールドに立てるのはサッカーと同じ11人で、1人のゴールキーパーと10人のフィールドプレイヤーによって構成されます。
ホッケーでは、選手交代は自由で、なおかつ何回でも交代できるので選手交代のタイミングが試合を大きく左右します。どの選手の運動量が落ちているか、試合の流れはどうなっているか、選手交代はいつ行われるかなどを読みながら見ることも試合を楽しむポイントのひとつです。
※国際ルールでは16名、国内の大会では別規定で行われる場合もあります。(東京2020オリンピックは出場登録選手は16名でした)
競技フィールドは、横55m×縦91.4m。ゴールはタテ2.14m、ヨコ3.66mの大きさで、そこにボールを入れて得点を競います。1972年からは、オリンピック、ワールドカップ、アジア大会など国際大会は全て人工芝のフィールドで行われるようになり、現在、国内の主要な大会もすべて人工芝フィールドとなりました。これにより、球速が速くなり、プレイヤーのスピード、体力、技術が更に要求されるエキサイティングなプレーが展開されるようになりました。
※ホッケーはもともと英国で始まったスポーツで、すべての表記はヤード(1ヤード=91.4cm)でしたが、最近はメートル表記となりました。また、フィールドのサークルの外側にある破線は、国内の試合では引かなくてもよいこととなっています。
先端部が湾曲した形状で(金属もしくは金属を含む材質以外で)作られた棒状のものをスティックと呼びます。重さの制限は最大重量737グラムで、長さの制限は最長105センチ。スティックには平らな面と、丸い面があり、平らな面でしかボールを扱うことはできません。そのため、ドリブルなどをおこなうときは、スティックをくるっと回しながら、平らな面のみ使うようにしなければならずテクニックを要します。
また、平らな面に加えてスティックの側面を使ったプレーも許されており、多様なプレーができるようになっています。スティックはメーカーにより、年々、改良が重ねられ、最近ではハイテク素材(グラスファイバーなど)を使ったスティックが増えています。それによって、反発力などが増し、よりボールスピードがあがり、スピーディーなゲームが展開されるようになってきています。
ボールの規定は「その材質を問わず、硬い球であること」。野球の硬球とほぼ同じ大きさ、重さで、硬球よりも硬いです。最近では、表面を硬化プラスティックで覆って、ゴルフボールのようにディンプルをつけたものが主流で、シュート時のボールスピードは、トッププレイヤーともなると時速150~200km近くにもなると言われています。
重量は156g以上、163g以下、周径は224mm以上、235mm以下という規定があります。表面はなめらかでなければなりませんが、縫い目やディンプル・ボールのくぼみは認められています。色は白色または合意に基づく色で最近は黄色いボールが使用されることもあります。
ゴールキーパーに限り使用が許されているものには、ボディプロテクター、レガード(すねあて12インチ以下のもの)、キッカー(足の甲あて)、グローブ、ヘルメット等があります。サークル内では全身を使えることになっています。最後の守備者として体を張ってゴールを守ります
サッカー同様、ホッケーにもオフサイドは過去存在していましたが、ルール改正により廃止され得点の入る確率が以前より増え、よりスピーディーでスリリングなゲームとなりました。
ホッケーでは、ゴール前にあるサークルと呼ばれる半円の中からシュートを打たないと、得点とみなされません。したがってサッカーのようなロングシュートはありません。また、ホッケーでは、シュートの時を除いて、基本的に選手が密集した場所にボールを上げて危険を誘発してはいけないルールとなっており、サッカーのように空中にセンタリングを上げることができません。そのためホッケーでは、ゴール前の駆け引き、すなわち、攻撃側はドリブル、パスを使っていかに相手守備陣をかいくぐって得点するか、守備側はそれをどう防ぐかが、最大の見所となります。
ホッケーでは選手の交代は、ペナルティコーナーの時を除き、いつでも、一度に何人でも行なうことができます。サッカーと異なり、一度ベンチに下がった選手でも、再びフィールドに戻ることができます。選手の交代のために時間が止まることはありませんが、ゴールキーパーの交代の時だけは時間は止まります。
ホッケーでは審判は2人で行いますが、両者どちらも主審です。2人でアンパイアリングを行いますが、自分のサイドのサークル内の判定は全責任を負います。
ホッケーはボールのスピードが速く、試合展開も速いため2人の審判の連携と協力が不可欠です。また、ボールが小さくスピードが速いため、細かい反則行為や故意の反則を見極めるには集中力と不断の努力のもとに培われた経験が必要不可欠となります。フィールド内の判定に対してには、絶対的な権限を与えられています。
ホッケーの試合は、2名のアンパイアで試合をコントロールします。2名のアンパイアは、1試合を通じてフィールドの半分の判定について、主たる責任を持ちます。攻守のエンド交代のように試合中のエンドを代えることはありません。
スティックの平面側以外でボールを扱ってはいけません。
スティックや体、手、足等で相手をたたいたり、押さえたりしてはいけません。
フィールドプレイヤーは、スティック以外の手や足を使ってボールをプレイしてはいけません。足にボールが当たった場合は当たった選手の反則となります。膝より上の危険な高さにボールが上がり、選手の身体にボールが当たった場合は次項のデンジャラスプレイの反則が適用となり、ボールを上げた選手の反則となります。
ボールを危険なやり方でプレイしたり、危険を誘発したりするようなプレイをするのは反則となります。たとえば、相手の身体をスティックで叩いたり、選手が密集している場所でスティックでボールを打つ時に空振りをしたりするのは反則です。フットの項目で説明したとおり、選手が密集している場所でボールを膝より高い位置に上げることも危険なプレイで反則となります。膝より上の高さにボールが上がり、選手の身体に当たった場合はボールを上げた選手の反則となります。
ホッケーでは個人的罰則を与えるためのカードが3種類あります。グリーンカード、イエローカード、レッドカードの3つです。
グリーンカードは警告を、イエローカードは一時退場を、レッドカードは即時退場を表しています。グリーンカードは2分間の退場、イエローカードを出されると、5分か10分の退場となります。5分か10分かは審判の裁量にまかされています。レッドカードは当該試合の残り時間は退場で、場合によってはTD(トーナメントディレクター)の通知によりその後の試合出場停止を指示されることもあります。
ホッケーを最も特徴づけるセットプレーです。また、このプレーにより得点の入る確率は高いので、このプレーの出来が試合の流れを大きく左右します。
ペナルティコーナーは、以下の時に攻撃側に与えられます。
・サークル内で守備側が反則を犯し、得点に影響がなかった場合
・自陣23mエリア内で守備側が故意の反則を犯した場合
・守備側が故意にバックラインをこえるようにボールを出した場合
・守っているサークル内で、守備側選手の衣服や装具の中にボールが入ってプレーが止まった場合
攻撃側は、ゴールポストから10m以上離れたサークル内のバックライン上の任意地点から、パッサーがボールをストロークし、サークルの外でストッパーがボールを止め、それからシューターがシュートを行ます。
攻撃側はこのセットプレーに何人参加しても良いのですが、パッサーからボールが出されるまで、サークル内に入ることはできません。最初のシュートがヒットで行なわれる場合、ゴールのボードの高さ(46cm)以上にあげてはいけないというルールがあります。最初のシュートがヒット以外の方法で行なわれる場合や、第2シュート以降はボールをあげることの制限の規定はありません。
守備側はゴールキーパー1人と、フィールドプレーヤー4人で守り、ボールがストロークされるまでは、ゴールラインよりも外か、ゴールポストから5m以内のバックラインよりも外に位置しなければなりません。それ以外の守備側の選手はハーフラインまで戻らなくてはならず、攻撃側のパッサーがボールを出してから自陣に戻ることができます。
ペナルティコーナーは、前述したように、攻撃側の人数の方が多い状態でプレーを開始できるため、非常に攻撃側に有利なセットプレーです。攻撃側はいかに確実に得点をとるか、守備側は不利な条件でいかに守るかがペナルティコーナーの見所となります。
サッカーのPKに相当するプレーです。ゴールキーパーとシューターの1対1で行われます。守備側によるサークル内での故意の反則や、その反則がなければ得点が入っていた場合に与えられます。
ホッケーは以前天然芝の上でおこなうスポーツでしたが、現在では人工芝で行なうようになりました。国際大会では必ず、日本においても全国大会では全て、人工芝で行なわれています。
ホッケーでは、転倒した際に、摩擦によりやけどするのを防ぐため人工芝に水を撒いてプレーをします。水を撒くことで、ダイナミックなプレーが可能になり、ボールのスピードがさらに上がり、また、ミスが激減しました。そのため、スピーディーで、スリリングなゲームが展開されるようになり、より魅力的なスポーツになりました。
日本ホッケー協会公認ホッケーアンバサダーのロッチ中岡創一さんによるホッケー講座。ホッケーの基礎を学べます。