2025.06.03 21:45 | 日本代表
女子日本代表「さくらジャパン」の高橋章ヘッドコーチ(HC)が誕生して約半年。2028年ロサンゼルスオリンピックを目指して始動し、ネーションズカップ、日中韓3カ国トーナメントを戦い、強化を進めている。五輪メダル獲得を掲げる高橋HCに、意気込みや展望を語ってもらった。
まず僕たちが大切にしているのは、選手たちがさくらジャパンでプレーしたいと思ってくれるようなチームづくりです。新しいヘッドコーチが何を目指しているのか、僕も色々なところで情報発信しますし、選手間でも情報共有があるでしょう。このチームでプレーしたいと思えるようなホッケーをするというか、あのチームであのスタッフたちの下でホッケーをしたらもっと上手になれるんじゃないか、パリオリンピックでできなかったことが達成できるんじゃないかと思ってもらえるようなチームづくりを意識しています。
まず僕に与えられた使命が7大会連続のオリンピック出場。これは最低限のノルマと自分でも思っていますし、日本ホッケー界が、さくらジャパンに期待していると思います。もう一つは、選手には当然伝えていますが、これまで6大会連続積み上げてきたものを形にすると言う点で、壁を越えていくということです。
現役を引退してからずっと男子のクラブ、実業団、サムライジャパンの指導者としてやってきて、女子ホッケーに対するイメージみたいなものが最初はぼんやりしていたというか、オリンピックに6大会連続出場している強いチームというイメージでした。パリの予選が終わってサムライジャパンの監督を退任した後に、また現場でやるのか、年齢的なところも考えて、日本協会の中で指導者を育成する立場にウエートを置こうか、と考えていたころで、いろんな方から女子代表はどう、というようなアドバイスもいただき、日本の女子ホッケーにより注目し始めました。
競技自体は男女でルールも全く一緒なので、そこで戸惑うことはなかったですが、細かな技術や戦術面、もちろんフィジカルの部分が圧倒的に違うので、男子にはできて女子ができないもの、逆に女子にできて男子にできないものみたいなところもあって、それをようやくつかんできたところです。いまは男子と女子、二つの性で分けるというよりは個性の時代なので、一人一人に合ったコーチングをしていくというのが、求められる能力だとは思っています。男女の違いみたいなものに、特に戸惑いはないですけど、アプローチの仕方、選手とコミュニケーションという点では、立命館大学でコーチを務めている古瀨充奈さんにチームマネージャーをお願いし、パリの時のキャプテンだった永井友理さんにさくらジャパンのロールモデルコーチみたいな形で少し加わってもらって、色々アドバイスをもらいながらやっています。
いや、意外となかったですね。パリオリンピック出場がダメだった時に、やっぱり次のロスへ手応えはあったんですよ。2023年のアジア大会で銀メダルを獲得して、ワールドカップにも出場して、残念ながらパリの予選は突破できなかったですが、確かな手応えみたいなものはありました。若い選手も伸びてきて、これから2年間とか3年間とかあれば、という悔いというか、現場に対してのモチベーションは、まだ残っていました。日本協会との話し合いの中で、もちろん納得をした形で退任し、次の身の振り方を考えた時に、指導者の育成も考えていました。現役の時から日本ホッケーに育てられ、何か恩返しをしなきゃいけないという思いは持ち続けているので。