【連載インタビューvol.1】女子ホッケー日本代表さくらジャパン高橋章HC「いまの日本の女子ホッケーなら必ず壁をこえていける」

2025.06.03 21:45 | 日本代表

就任に迷いは一切なかった

―さくらジャパンはオリンピック3大会ぶりの白星をパリで挙げましたが、1勝にとどまりました。決勝トーナメント進出が遠い状況が続いています。

 パリの大会は現地には行けなかったですが、解説を何試合かやらせてもらいました。試合を見ている中で、本当に選手たちのポテンシャルの高さ、こんなものではないのでは、という思いが強かったです。この成績で終わるチームじゃないよねっていう思いがすごくあって、余計に日本の女子ホッケーのポテンシャルを感じられたので、僕がやれば必ず壁を越えていけると思ったので就任に迷いとかは一切なかったですね。

―日本の女子はアテネ(2004年)での8位が過去最高成績です。

 日本の女子球技スポーツのポテンシャルは高いと感じていますし、その中で、ホッケーは6大会も連続で出場を果たしています。ただ、メダルを取れていないのもホッケー。その現実を冷静に分析する中で、壁を越えていくためにどうするかというところで、経験のある選手と若い選手をうまく融合させていくことが大事になります。今回(中国遠征)も16歳の高校生を連れて行きましたが、すごくポテンシャルの高い選手です。世界的に見て10代の選手がトップチームでプレーしていることは、それほど珍しいことではありません。正式な立ち上げはまだですが、21歳以下代表のヘッドコーチも兼務します。そういう意味でも底上げというか、年齢は関係ないと思っているので、若い選手にもどんどんチャンスを与えていきたいと考えています。

トレーニングで指示をする高橋HC

―選手選考のプロセスも変化していますね。

 日本協会の中で選考システムが新しくなりました。選考会を年に1回実施して、選ばれた選手を強化していく、というやり方を一度払拭して、他の競技団体がやっているように我々コーチングスタッフが試合や大会を視察して、それを反映させて選んだ選手で合宿して大会に出て行く。誰にでもチャンスがある。調子のいい選手は年齢、経験とか実績とか関係なく、国際大会に出るチャンスがあるという形です。さくらジャパンを目指している選手、まだ意識していない選手がどんどん活躍してくれ、代表に加わってくれるようになることが、壁を越えていくためのポイントの一つです。

―選考方法の変化は現場からの声が大きかったのでしょうか?

 そうですね。私とか穴井君(サムライジャパンHC)とかですね。特に若い選手だと、1年で急激に伸びることがあります。ベテランもそうです。経験のある選手を加えていって、チームの底を上げるといくことも考えています。ただ経験があればいいだけではなく、その選手が野心、モチベーションをしっかり持ってくれているかどうかを見極めていくことも大切にします。