
2025.11.03 21:31 | 大学生
第74回男子・第47回女子全日本学生ホッケー選手権大会(インカレ)は3日、大井ホッケー競技場メインピッチ(東京都)で男子決勝戦が行われた。
(0-1/0-0/1-0/0-0/SO4-2)
天理大が立命館大との接戦を制し、2年連続の優勝を果たした。
立命館大が先制し、天理大が追いつく展開。両チームとも譲らず、試合は1ー1のままSO戦へ。最後は天理大#10川上 慎が決勝の一打を沈め、激戦に終止符を打った。
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インカレ2連覇を目指す天理大と、王座に続く二冠を狙う立命館大。男子ホッケー界を代表する2チームによる注目の決勝戦は、天理大のセンターパスで始まった。
最初にチャンスをつかんだのは立命館大。8分、PCを獲得するも天理大DF陣の堅守に阻まれた。
しかし、そのわずか1分後に試合が動く。9分、右サイドのサイドライン際で立命館大#5小林がやや長めのパスを中央へ送る。こぼれ球にいち早く反応した#25米崎が押し込み、立命館大が先制点を奪った。

13分には立命館大がゴール前で1対1の形を作るが、天理大GK#18黒田が前に飛び出し、シュートを打たせずにクリア。窮地を救う好守備を見せた。
第1Q終了まで残り13秒、天理大が貴重なPCを獲得。パスを受けた#12小林がトラップからシュートを放つも、GK#2馬場の好守に阻まれ、得点には至らなかった。
激しい攻防の末、立命館大が1ー0でリードのまま1Q終了。

第2Q7分、天理大がPCを獲得。#11田中がヒットシュートを放つも、GK馬場の好守に阻まれる。続く9分には、天理大#6中嶋の打ち込みからチャンスを作り、#10川上がヒットシュートで狙う。しかし、ここもGK馬場が前に出てブロックし、得点を許さない。

12分、立命館大#5小林が左サイドから鋭いリバースパスをゴール前へ送る。#8根岸がスティックを伸ばすも、惜しくも届かなかった。
2Q終了時点でもスコアは立命館大1ー0リードのまま。拮抗した展開が続き、試合の緊張感は一層高まっていった。

第3Qは、サークル付近での激しい攻防が続く展開となった。
9分、天理大#11田中が前線へスクープパスを送る。トラップした#12小林がサークル内へ切り込み、リバースシュートを放つが、GK馬場のセーブに阻まれた。
10分には立命館大がPCを獲得。#9重山がフリックシュートを放つも、ボールはわずかに右へ外れ追加点とはならない。

そして11分、試合が再び動く。天理大#6中嶋がサイドライン際からスクープパスを前線へ送ると、#25林がサークル内でこれをトラップ。そのまま体勢を崩さずフォアヒットでゴールネットを揺らし、天理大が同点に追いついた。豪快な一撃にベンチも総立ちとなり、勢いを取り戻す。
天理大は退場者を出して9人となる時間帯があったものの、統率の取れた守備で無失点で凌いだ。

第4Qに入ると、勝ち越しを狙う両チームによる激しい攻防が続く。
2分、立命館大#1川原が華麗なドリブルで2人をかわしシュートを放つも、天理大GK黒田が好セーブ。「サムライジャパン」にも選ばれている両者のスーパープレーに、会場が大きく沸いた。
その直後の3分にも、前線でボールを奪った立命館大がゴール前でキーパーと1対1になる決定機を迎える。しかし、ここでもGK黒田が鋭い出足で前に飛び出し、シュートを打たせない。

12分、立命館大#11樋口が混戦からリバースシュートを放つも、またしてもGK黒田がスーパーセーブ。ゴールを死守した。
そして試合終了まで残り20秒、立命館大#4加藤がPCを獲得。立命館ベンチが総立ちとなり、会場の緊張は最高潮に達する。勝敗を左右する一打、#9重山のフリックシュートは天理大守備陣の気迫のブロックに阻まれた。
試合は1ー1のまま終了し、勝負の行方はSO戦に託された。

そして迎えたSO戦。
天理大のゴールを守るのは#18黒田 紀彰。この試合で幾度となくスーパーセーブを見せてきた守護神は、SOでも定評のある存在だ。対する立命館大のGKは#2馬場 風和。2年生ながら守護神として君臨し、昨年から試合経験を積むスーパールーキー。
両チームの守護神に試合の行方が託され、緊張のSO戦が始まった。
1本目、天理大は#12小林 一成。キーパーを背負いながら冷静にかわし、落ち着いてゴール。まずは天理大が先手を取る。立命館大1人目は#6福田 凌大 。ファールを獲得してPSに持ち込み、キャプテン#1川原 大和がこれを決めて同点に追いつく。
続く天理大2人目は#6中嶋 丈大 。GK馬場が粘り強く守るも、ファールの判定で再びPSに。#3渡部が確実に沈める。立命館大2人目#13山中 楽生は倒れ込みながら意表を突くシュートを決め、強心臓ぶりを見せつけた。

天理大3人目は#11田中 翼。狙いすました一打は惜しくも枠の外。
続いて立命館大#4加藤 颯大が登場。GK黒田が一度は止めたが、PSの判定。しかしリファーラルの結果、判定は覆りノーゴールに。両者一歩も譲らず、3人目を終えて2ー2のまま同点。


4人目、天理大#2原 駿が登場。キーパーを背負いながら反転し、落ち着いてシュートを決める。天理大が一歩リード。続く立命館大4人目#11樋口 雄翔は反転しながらシュートを放つが、わずかに枠の外。ここで試合の流れが天理大へ傾いた。
そして、これを決めれば優勝という場面で登場したのは天理大#10川上 慎。
緊張が張り詰める中、川上はキーパーの動きを見極める。わずかなタイミングのずれを逃さず、隅を突くループシュート。ボールはゆっくりと弧を描き、ネットへ吸い込まれた。ホイッスルが鳴り響いた瞬間、天理大の選手たちは歓喜の渦に包まれた。

昨年、ラストワンプレーで立命館大を下し、5-4でインカレを制した天理大。そして今年も、最後の瞬間まで何が起こるかわからない決勝戦となった。互いの意地と誇りがぶつかる中、天理大はGK黒田を軸に守り抜き、SO戦で見せた集中力と冷静さが勝敗を分けた。
頂点を守り抜いたチームには、王者としての風格が確かに宿っていた。


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