【コラム】藤本一平の越境ホッケープレイヤー欧州観戦記 Part.4~日本人はクラブにどう受け入れられているか。サポーターや監督のコメント~

2018.10.07

ホッケー強豪国オランダ(世界ランキング女子1位、男子4位)とドイツ(女子5位、男子6位)の国内リーグを観戦した藤本一平氏によるコラム「越境ホッケープレイヤー欧州観戦記」。
全4部の構成で、いよいよ最終章。

これまでのコラム

第1部、今回の旅程の概要。ドイツリーグの選手間の競争の激しさについて。
第2部、日本とオランダ、ドイツ、フランスを比べて感じたこと「パフォーマンス面」について。
第3部、日本とオランダ、ドイツ、フランスを比べて感じたこと「環境面」について。

第4部では、サポーターや監督にインタビューより、日本人選手はクラブにどう受け入れられているかについて。
世界強豪国でプレーする田中健太選手や及川栞選手と親交の深い藤本氏にしか聞けない話が満載だ。

藤本一平Ippei Fujimoto

1989年3月27日、山梨県生まれ。天理高校では同級生の田中健太(日本代表)に誘われホッケー部に入部。早稲田大学に進学し、関東春季リーグ優勝や大学王座準優勝に貢献。4年生では主将を務める。大学卒業後は名古屋フラーテルホッケーチーム(現ベルテクスホッケーチーム)に所属し、社会人選手権4度の優勝や高円宮牌男子ホッケー日本リーグ3度の優勝を勝ち取る。大学在学時にU21日本代表に選出され、ジュニアワールドカップに出場。シニア代表選手としてアジア大会やワールドリーグセミファイナルに出場した。CAP数59。2017年シーズンをもって現役選手を引退。情報発信にも長け、ホッケーファンの間では長年、藤本氏のブログが愛読されている。

オランダで日本人選手はどのように受け入れられているか

旅程3(オランダ・HGC vs Almere)のAlmere戦の前にHGCのサポーターの方(白髪で感じ良いの紳士)にケンタについてどう感じているか、インタビューをさせてもらいました。(通訳は帰国子女のヒロキにお願いしました)

インタビューに応じてくれたHGCサポーター。写真/藤本一平

インタビューに応じてくれたHGCサポーター。写真/藤本一平

「ケンタはインプレッシブな選手だ。スピードがあって、いいテクニックを持っている。たまに1人でプレーしすぎるときもあるが(笑) 彼は速いだけでなく、準備する姿勢もいい。常にこぼれ球がこぼれてくるのを低い姿勢で準備しているし、試合前のウォーミングアップでも非常に集中力を高めて取り組んでいる。とてもインプレッシブだ」と答えてくれました。

ちょっと意地悪な質問かもしれませんが、ケンタの語学についても聞いてみました。(笑)

「ノットインプレッシブ(笑) しかし彼は常に自分の考えをチームメートに伝えようと努力している。その姿勢がいい」と微笑みながら答えてくれました。

ちょうどこのインタビューのときに、近くにHGCのポール・ヴァン・アス ヘッドコーチ(以下、ポール)がいて、会話に参加してきてくれました。

「ケンタはいい選手だ。今日の試合でもゴールを決めるよ」と付け加えてくれました。

ちなみにポールは前述のセビの父親であり、これまで男子オランダ代表や男子インド代表のヘッドコーチも務めた有名な指導者です。

またまた余談となりますが、ケンタ本人の情報によると、ポールは選手を褒めて伸ばすタイプだそうで、日本語で表現すると「いいよ、すごくいい!」という感じで褒めちぎってくれるそう。ほとんど怒るような指導はせず、指摘するときも冗談を交えて指摘するのでチームには笑いが絶えないそうです。

ケンタが「これまでこんな褒める指導者に会ったことがない」と評したポール。ポールは私に対して、「来年はお前もここでプレーしろよ」と冗談を言ってくれましたが「私はもう引退していますし、ケンタのように速い選手じゃないですよ」と答えました。ただの冗談とはわかっていながらも、このコーチのもとでプレーするのは楽しそうだな、そう感じさせる人柄でした。

選手を褒めて伸ばすというポール・ヴァン・アス監督。写真/藤本一平

選手を褒めて伸ばすというポール・ヴァン・アス監督。写真/藤本一平

話が脱線しましたが、オランダでの観戦を通じて「ケンタはチームの一員として、しっかりと受け入れられている」と感じました。
「オランダ人はみんな人が良い」とケンタは言っていましたが、それに甘えずに、自分からもチームメートと積極的にコミュニケーションを取りに行っている様子がウォーミングアップや試合後の様子を見ていても感じられました。

オランダにいらっしゃる日本人ご家族

旅程1(オランダ・HGC vs Pinoke)の試合前に周りを見渡すと、日本人のご家族(両親と2人のお子さん)がいらっしゃることに気づきました。近くに行って挨拶をさせていただくと、お名前は小池さんという方で、日系企業にお勤めで2018年7月からアムステルダムに駐在されているとのことでした。
もしかして、ホッケー経験者?と思いましたが、小池さんはホッケー経験者ではないそうです。今年7月からオランダに赴任され、日本人仲間のつながりでケンタと知り合い、何度か食事にも行っているそうです。これまで、サムライジャパン、さくらジャパンの欧州遠征の試合をそれぞれ1試合ずつ観戦されていて、今回の試合観戦がホッケー観戦3戦目とのことでした。こういった出会いをきっかけにホッケーを知ってくださる方がいらっしゃることは非常にうれしいことですし、今後も引き続きホッケーに関心を寄せていっていただきたい、そう感じた嬉しい出会いでした。

オランダのスポーツ界におけるホッケーの地位

ここですこし、ビザのお話を。

日本人に限った話ではないですが、外国人ホッケー選手を受け入れるに際のオランダの実情をケンタに教えてもらいました。いわく、「オランダのスポーツ界におけるホッケーの地位はけっこう高いらしく、ホッケー選手は信用があるそう。たとえば、ビザを取得する際にサッカー選手だと一定の年俸以上(年俸約4000万円以上?)の選手でないとビザが下りにくいが、ホッケー選手はビザが取得しやすいらしい。」とのことでした。

受け入れられるだけでなく、飛び込む姿勢も必要?

旅程3(オランダ・HGC vs Almere)の試合後には、ケンタとショウゴ、ヒロキのほかに女子ホッケー日本代表「さくらジャパン」の及川栞選手(オランダのOranje-Rood所属。以下、シホリ)も合流して、5人でアムステルダムで食事をしました。

アムステルダムにて。女子日本代表及川栞選手も。写真/藤本一平

アムステルダムにて。女子日本代表及川栞選手も。写真/藤本一平

シホリは、すでにオランダリーグに参戦して3シーズン目。SNSの情報発信を見ていても、チームメートとカフェに行ったり、お菓子作りをしたりとホッケー以外の面でもチームに溶け込んでいる様子が感じられます。受け入れる側のチームがウェルカムな姿勢でいてくれることもあるかもしれませんが、彼女の持つ明るさ(と図々しさ?と書いたら怒られるだろうか(笑))が現在の立場を作っているのだと思います。

その証拠に?、シホリはショウゴ、ヒロキとは初対面でしたが、なんのその。すぐに相手の懐に飛び込んで心理的距離を近づけることのできる彼女の性格には、あらためて「海外向きだな」と感心させられたのでした。(笑)こういった性格もオランダで挑戦し続けられる要因のひとつかもしれませんね。

最後に。読者へメッセージ。

4部構成で書きながら、結局うまくまとまっていませんが、とにかく印象に残ったことを中心にざっくばらに書いてみました。

今回の旅は完全にプライベートな旅でした。
ショウゴが土曜の夜に連れて行ってくれたケルン大聖堂が壮大で素晴らしく、印象に残っていますが、そのほかはほとんど観光せず、ホッケーの試合を観ることにフォーカスした旅でした。

観光好きな方なら楽しめない日程かもしれませんが、ホッケーフリークの私にとっては刺激的な楽しい旅でした。(笑)

今回、このような楽しい旅を過ごせたのは、

勝ちゲームを2試合、ゴールシーンも観せてくれて、いろんな話を聞かせてくれたケンタ。
アイントホーフェンからアムステルダムまでやってきて食事に参加し、現地の情報を教えてくれたシホリ。

土曜の試合観戦やケルンの観光案内、家への突然の宿泊、日曜のドイツからオランダへの長距離車移動など、お世話になりっぱなしだったショウゴ。

ホテルや電車チケットの手配、通訳などに協力してくれて、弾丸日程に付き合って同行してくれたヒロキ。

彼らのおかげであり、心から感謝します。
ありがとうございました。

弾丸日程ではありましたが非常に濃い時間を過ごすことができました。

また数日経てば「あんなこともあったな」と思い出すこともあると思いますが、それはまた思い出したときに自身のブログなどで紹介できたらと思います。

それでは、今回はこのあたりで。
長々と書いてしまいましたが、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

それではまた。

藤本一平