【試合レポート】開幕戦、さくらジャパン対インドを振り返る/東京2020テストイベント「READY STEADY TOKYO HOCKEY」

2019.08.17 16:38 | 日本代表

ホッケー女子日本代表さくらジャパン(世界ランキング14位)は8月17日(土)、大井ホッケー競技場で行われた東京2020オリンピックテストイベント「READY STEADY TOKYO HOCKEY」の第1戦でインド代表(同10位)と対戦。日本ペースで試合は進んだが、ペナルティーコーナーのチャンスを確実にものにしたインドに1-2に敗れた。
(0-1/1-0/0-1/0-0)

試合前の国歌斉唱。写真/金子周平

試合前の国歌斉唱。写真/金子周平

【得点者】
9分  PC KAUR Gurjit
16分 FG 三橋 亜記(コカ・コーラレッドスパークス)
35分 PC KAUR Gurjit

さくらジャパンの出場メンバ―

さくらジャパンは下記の16名が出場した。
(先発選手は「×」マーク。途中交代で出場した選手は最初にピッチに立った時間を表記)

No. Po. 名前 先発 チーム(所属)
1GK景山 恵XソニーHC
7DF小野 真由美X(所属先:SOMPOケア (株) )
8MF真野 由佳梨XソニーHC
9FW永井 友理XソニーHC
10MF永井 葉月XソニーHC
11DF及川 栞X東京V((株)岩手めんこいテレビ)
12FW野村 香奈X南都銀行
13DF孤塚 美樹XGSK
15MF石橋 唯今5ぎふ朝日(ホンダロジコム(株))
16MF金藤 祥子Xコカ・コーラ
18DF錦織 えみ4コカ・コーラ
20FW清水 美並3ソニーHC
22FW河村 元美Xコカ・コーラ
26DF鈴木 美結X山梨学院大学
28FW三橋 亜記7コカ・コーラ
29MF尾本 桜子5山梨学院大学

<チーム名>
コカ・コーラ=コカ・コーラレッドスパークス
ソニーHC=ソニーHC BRAVIA Ladies
南都銀行=南都銀行 SHOOTING STARS
GSK=グラクソ・スミスクライン Orange United
ぎふ朝日=ぎふ朝日レディース
東京V=東京ヴェルディホッケーチーム

大勢の観客が見守る中、円陣を組むさくらジャパン。写真/金子周平

大勢の観客が見守る中、円陣を組むさくらジャパン。写真/金子周平

三橋がゴール

第1Qは日本のセンターパスでスタート。前半から日本が攻め込み、右サイドを崩した永井(葉)が決定的なパスを出すも清水は決めきれず。さらに攻め続けた日本は、永井(友)がシュートチャンスを得るもインドが固い守備を見せる。

敵陣に攻め込む永井(友) 写真/金子周平

敵陣に攻め込む永井(友) 写真/金子周平

6分、日本がペナルティーコーナーを取得するが、及川のシュートはインドにセーブされる。対するインドも負けじと反撃を開始し、9分にペナルティーコーナーを取得。このチャンスでKAURがドラッグフリックシュートをゴール右下に決め、インドが先制する。第1Qは0-1でインドがリード。

第2Qは開始早々、日本が好機を作り、清水が左45度から打ったシュートを放つ。このこぼれ球を三橋が押し込み、日本は同点に追いつく。

ゴールの起点となった清水(左)と三橋 写真/金子周平

ゴールの起点となった清水(左)と三橋。写真/金子周平

喜びを分かち合うさくらジャパン 写真/金子周平

喜びを分かち合うさくらジャパン。写真/金子周平

さらに勢いに乗る日本はこの日2本目のペナルティーコーナーを取得。永井(葉)のヒットはDFにセーブされ、決まらず。その後も、永井(友)、三橋が積極的なシュートを見せたがゴールには至らず、反対にインドは右サイドをドリブルで攻め込みビッグチャンスを作る。ここは及川が身体を張ったDFを見せ、ゴールを死守。その後のピンチもGK景山がセーブし、難局を乗り切った。1-1の同点で前半を折り返す。

ゴールを死守するさくらジャパン 写真/金子周平

ゴールを死守するさくらジャパン 写真/金子周平

後半も激しい攻防

第3Qに入るとインドが日本陣に攻め込みチャンスを作るが、景山のセーブ、永井(葉)の身体を張ったDFで乗り切る。しかし、35分、ペナルティーコーナーを得たインドは再びKAURがドラッグフリックシュートをゴール右上に豪快に決め、1点リードを広げる。日本は39分、右サイドを広く深く使った巧みなパスワークで崩し、ペナルティーコーナーを取得するが、野村のヒットはインドDFに阻まれる。第3Qは1-2とインドのリードで終える。

ペナルティーコーナーの守備に課題が出た日本。写真/金子周平

ペナルティーコーナーの守備に課題が出た日本。写真/金子周平

両チーム、暑さの影響かやや動きに重さが出てきた第4Q。53分に日本は清水が得意の3Dドリブルでサークル侵入。日本の反則が吹かれたがビデオ判定を使って、インドの反則に覆り、日本がペナルティーコーナーを取得。このチャンスは永井(葉)、真野がシュートを打つもインドの堅い守りを崩せない。日本が相手陣でプレーする時間帯が続くが、新しいピッチの影響か、弾んだボールのレシーブミスやドリブルミスでチャンスを活かしきれない。

58分、日本はGKを下げ、フィールドプレイヤー11人のパワープレーに出る。数的優位の日本は永井(葉)がフリーでシュートを放つがインドGKがセーブ。その後も波状攻撃を仕掛けるが最後まで追加点を奪うことはできず、1-2でインドが勝利した。

3Dドリブルで攻め込む河村。写真/金子周平

3Dドリブルで攻め込む河村。写真/金子周平

試合の振り返り

暑さの厳しい中で行われた開幕戦。日本はチャンスを多く作るが少ないチャンスをものにしたインドに敗れた。ペナルティーコーナーは日本が5本取得でノーゴールだったのに対して、インドは3本取得で2本を決めた。

試合後、アンソニーコーチが述べたとおり、「ペナルティーコーナーのDFが課題」と言えそうだ。

日本の攻めは広く深くピッチを使ってパスを回して意図的に「崩した」シーンが見受けられたが、ゴールは三橋が決めた1点のみ。フリーでシュートを打つなど、立ち上がりから好機は多く作れていただけに得点できなかったこと、とくに先制点をあげられなかったことが悔やまれる。大井ホッケー競技場のこけら落としという注目が集まる中の試合ということでやや硬さも見えたさくらジャパン。

開幕戦で味わった苦い経験を糧に、明日の中国戦では勝利を期待したい。

試合後の監督・選手のコメント

■得点を決めた三橋亜記

「力を出し切れずに負けてしまったのは残念。明日以降の試合は自分たちの力を100%出し切りたい。結果と内容にこだわって戦っていく。

(得点シーンは)ボールは見えなかったが、清水選手を信じて逆サイドポストで構えていた。形はどうあれ、得点できたことはうれしい」

シュートを放つ三橋。写真/金子周平

シュートを放つ三橋。写真/金子周平

■得点に貢献した清水美並

「オリンピック本番までの間に日本で国際大会ができるのはこの機会しかないと思うし、気候も本番と同じような状態でできるので、ここで結果を残すことを大事に考えて試合に挑んだ。ここで結果を残せばさらにたくさんの人に応援してもらえると思うので結果を残したいと思っている。今日は得点できなかったので明日以降の試合はフォワードとして得点でチームに貢献したい」

■オランダ仕込みのプレーを見せた及川栞

「一人一人が肩の力を抜いていつも通りテンポのある勢いのあるパスホッケーがもっとできたら良かった。今日はボールに集中しすぎてしまう選手もいて、コミュニケーションを取るべきタイミングがすこし遅れてしまう場面があった。

自分たちの中で(指示を)わかったら手を挙げようとか共通理解はできているけれど、キーパーからの指示を(普段は)2回で聞こえるところが、(観客の声援などで)5回指示しないと聞こえないときがあったり、ちょっとずつのズレが良くなかったと思う。

チームとしてスピードを意識してい戦っている。パススピード、ボールスピードが大事。そのスピードをあげていくためには暑さと湿度の中、走り抜ける力がベースになると思う。

(個人的には)ピッチはとてもやりやすい。レシーブしやすいし、しっかり当たるとボールスピードが出ていいグラウンドかなと感じている」

■PCの守備を課題に挙げたアンソニー・ファリーヘッドコーチ

「今日の試合は今までやってきたことを出せず、がっかり。暑さが原因とは思いたくない。インドのペナルティーコーナーを3本中2本決められてしまい、(日本の)ペナルティーコーナーの守備は課題だ。

攻撃に関しては、選手一人一人が状況判断ができていないのと、自己中心的なプレーが目立った。たくさんの観客を前にプレーすることに慣れていないのもあるだろう。今日の試合より明日の試合、と試合を重ねるごとに改善していきたい」

明日の中国戦に向け、真野由佳梨キャプテンは「今日は自分たちのプレーができなかった部分があったが、切り替えて臨む」と前を向いた。


その他の試合結果

オーストラリア 2-3 中国


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