まだ誰も見たことがない世界を見ている男 ホッケー男子代表・田中健太

2020.12.11 16:00 | 海外

野球界では藤村富美男(元阪神タイガース)が審判に「代打、ワシ」と告げ、その打席で代打逆転満塁サヨナラ本塁打を放った。サッカー界では元日本代表・本田圭佑(ボタフォゴ)が現役選手を続けながら実質的なカンボジア代表監督を務めている。

選手と指導者。どの競技においても両立は容易ではない。その難題にホッケー界のトップ選手が挑んでいる。

ホッケー界でまだ誰も見たことがない世界を見ている男・田中健太(32)。日本代表「サムライジャパン」のエースストライカーとして、また世界最高峰のオランダリーグでプロ選手として活躍する田中は日本ホッケー界に変革を起こしている。

各国の代表選手がひしめくオランダリーグで活躍を見せる田中(提供=HGC)

ホッケーとの出会い

琵琶湖の湖東。伊吹山の麓。ホッケーが盛んな滋賀県米原市で育った田中は春照(すいじょう)小学校時代にスポーツ少年団でホッケーと出会い、全国大会に出場。伊吹山中学校では決勝戦で大差をつける無類の強さで日本一となった。
高校は地元を飛び出し、強豪・天理高校(奈良)へ。1年からFWとして活躍し、高校でも日本一を経験した。

▼高校時代の田中(本人のInstagram投稿より)

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関西学生ホッケーの雄、立命館大学に進学後も中心選手として大学日本一に貢献し、日本代表選手としても頭角を現した。大学卒業時には強豪国ドイツのクラブチームから声がかかるほどの実力を有していたが、当時は「ドイツで生活していけるのか想像できず」、海外挑戦に踏み切れなかった。

卒業後は和歌山国体(2015年開催)に向けてホッケーを強化していた和歌山県庁に就職。箕島ホッケークラブでプレーしながら日本代表として世界の強豪国と戦ってきた。

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「人生の転機 妻の言葉」

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