最終戦でオランダがドイツに1-0勝利 英国対ベルギーは1-1引き分け、SOは英国が制す/FIHプロリーグ女子2023-24(アムステルダム)

2024.06.30 6:00 | 海外

 FIH女子プロリーグは29日、オランダ・アムステルダムで最終日を迎え、2試合が行われた。すでに優勝を決めているオランダ(世界ランキング1位/以下、WR*)は2位のドイツ(WR3位)に1-0で勝利した。英国(WR6位)とベルギー(WR4位)は1-1で引き分け、英国がシュートアウト戦(以下、SO戦)を4-2で制した。(写真=FIH/ WORLDSPORTPICS/ FRANK UIJLENBROEK)
*WRは6月29日試合開始時点。

オランダがドイツに完封勝利

 立ち上がりから一進一退の攻防が続き、第1クオーターは0-0で終える。第2クオーターはドイツが4本のペナルティーコーナー(以下、PC)を獲得したがオランダはGK、22番Josine Koningを中心に守り切る。47分、オランダ4番Freeke Moesが左サイドからドリブルでサークルに侵入。ドイツDFが苦し紛れにブロックし、そのこぼれ球を拾ったオランダの主将7番Xan de Waardが強烈なヒットシュートをゴール右中段に決め、待望の先制点をあげる。残り6分でドイツがパワープレーを仕掛け、試合終了直前にPCを獲得する粘りを見せたが、最後までゴールをこじ開けることはできず、1-0でオランダが勝利した。

チームを勝利に導いたオランダの主将7番Xan de Waard 写真=FIH/ WORLDSPORTPICS/ FRANK UIJLENBROEK

 惜しくも敗れたドイツの主将4番Nike Lorenzは「負けたことは非常に悔しいが、試合をとても楽しむことができた。自分のキャリアのなかでベストゲームと言えるくらい良い試合ができてうれしいし、誇りに思う。前半にチャンスを多く作れていたので決めておきたかった。(パリ五輪では日本と初戦で対戦。最終予選は引き分けだったが、初戦への意気込みは?)最終予選から時間が経っているので、両チーム変化があると思う。オリンピックの舞台なので特別な試合になると思うし、初戦をとても楽しみにしている」と語った。

好セーブを見せ無失点勝利に貢献したオランダのGK、22番Josine Koningに向かってシュートを放つドイツの主将4番Nike Lorenz 写真=FIH/ WORLDSPORTPICS/ FRANK UIJLENBROEK
2年連続4回目の優勝を決めたオランダ 写真=FIH/ WORLDSPORTPICS/ FRANK UIJLENBROEK

英国がベルギーにSO勝ち

 25日の対戦ではベルギーが2-1で勝利したが、今回の試合で先制点をあげたのは英国。13分、英国の10番Sarah Robertsonがセンターライン付近でパスカットし、カウンター攻撃。サークルトップ左側でパスを受けた13番Sophie Hamiltonがヒットシュートを決めてリードを奪う。33分、ベルギーがPCを獲得。ドラッグフリックシュートのリバウンドを6番Charlotte Englebertがリバーススイープで決めて同点に追いつく。その後は両者得点を奪えず、1-1で試合終了。シュートアウト戦は英国のGK、40番Miriam Pritchardが2回セーブし、英国が4-2で制した。

SO戦でセーブする英国のGK44番Miriam Pritchard 写真=FIH/ WORLDSPORTPICS/ FRANK UIJLENBROEK

 先制点を決めてPOMに選ばれた英国13番Sophieは「正直なところ得点シーンのヒットシュートは少し打ち損じたがゴールはゴール」と笑顔で語り、PC守備の4番騎としてスティックセーブしたシーンについては「子どものころにクリケットをたくさんプレーしていたのでハンドアイコーディネーション(視覚と手の協調性)には自信がある」と振り返った。「最終戦は少しでも勝ち点を多く取りたいと思っていたので、前回負けた相手から勝ち点2を奪えてよかった。(プロリーグを振り返って7位で終わったが?)プロリーグを戦うのは難しい。シーズン序盤にアルゼンチンとアウェイで戦い、終盤にオランダとアウェイで対戦する。長期オフのあとに試合があったりもする。ただ、多くの試合経験を積めることはとてもいい機会だと思う」と振り返った。パリ五輪に向けて「このあとすこしオフを挟み、パリに出発するまではビシャム(ナショナルトレーニングセンター)でトレーニングを積む。オリンピックに自信を持って臨みたい」と意気込んだ。

先制点をあげた英国23番Sophie Hamilton 写真=FIH/ WORLDSPORTPICS/ FRANK UIJLENBROEK

 同点弾を決めたベルギーの6番Charlotte Englebertは前回勝利した英国に今回は引き分けたことについて、「チャンスを多く作りながら決めることができなかった。3、4回はセカンドポストを通過していったボールがあったが、普通はそれを決めなくてはいけない。連戦の疲労は間違いなく影響したと思うが、そういう状況でこそ決めることが大事だと思う。プロリーグ最終戦で勝ち切れなかったのは残念だがよく戦ったと思う。今シーズンのプロリーグではオランダを下し、自分たちがよいチームであることを再確認できた。オランダに勝てたということはオリンピックでどんな強豪にも勝てるという自信につながると思う。プロリーグはいろんな国と対戦でき、よいトレーニングの機会になった。胸を張ってホームに戻ってオリンピックに向けて準備をしたい」と語った。また、オランダの強豪クラブHC Den Boschでプレーしたことについては「とても良いチームで、チームメイトが大好き。多くのことを学ぶことができた。ホッケーの文化はベルギーとも違うし、きっと日本とも違うと思う。個人的にはオランダのスタイルが好きだし、来シーズンも楽しみ」と振り返った。

同点ゴールを決めたベルギー6番Charlotte Englebert(中央・黄色いシュシュ) 写真=FIH/ WORLDSPORTPICS/ FRANK UIJLENBROEK

FIHプロリーグとは

 FIHプロリーグ(以下、プロリーグ)は国際ホッケー連盟(FIH)主催の2019年1月からはじまった国際大会。それ以前まで開催されていたチャンピオンズトロフィー、ワールドリーグ・セミファイナル、ワールドリーグ・ファイナルに代わる大会としてスタートした。

 男女9チームが2回戦総当たりで競い合い、シーズン終了時点でのトップチームがリーグ優勝となる。2023-24大会は12月から6月にかけて行われ、優勝チームには2026年W杯(オランダとベルギーの共催)の出場権が与えられる(開催国オランダまたはベルギーが優勝した場合はそれ以外の最上位のチームに権利が与えられる)。第4回大会(2022-23年)以降、シーズン終了時の最下位チームはFIHネーションズカップ(Nations Cup)に降格し、同大会の勝者が翌年のプロリーグに昇格する仕組みとなった。

FIHプロリーグ・女子の最終順位

 オランダは2年連続4回目の優勝。ドイツは過去最高の2位となり、2026年ワールドカップの出場権を獲得した。最下位のアメリカはネーションズカップへの降格が決まっている。

さくらジャパンはネーションズカップに出場、5位

 日本は男女ともにFIHプロリーグへの出場経験はなく、1つ下のカテゴリーのFIHネーションズカップに出場。

 女子さくらジャパンはネーションズカップの第1回大会(2022年12月/スペイン・バレンシア)で8チーム中3位、第2回大会(2022年6月/スペイン・テラサ)で8チーム中5位だった。第2回大会はスペインが優勝し、次回のプロリーグに昇格する。

 男子サムライジャパンは第1回大会(2022年11月~12月/南アフリカ・ポチェフストルーム)で8チーム中6位。第2回大会(2024年5月~6月/ポーランド・グニエズノ)には出場できなかった。第2回大会への出場条件は「2023年1月31日時点の、FIHプロリーグ参加国以外の世界ランキング上位7チーム」であり、同日時点のサムライジャパンの世界ランキングは19位で条件に満たなかったため。開催国ポーランドは同日時点で日本より世界ランキングが下位だったが開催国枠で出場が決まり、男子は例外的に9チームが出場した。ニュージーランドが優勝し、プロリーグへの昇格を決めている。