サムライジャパン、ゴールラッシュでマレーシアを下し、今大会3位/東京2020テストイベント「READY STEADY TOKYO HOCKEY」

2019.08.21 | 日本代表

ホッケー男子日本代表サムライジャパン(世界ランキング16位)は8月21日(水)、大井ホッケー競技場のノースピッチで行われた東京2020オリンピックテストイベント「READY STEADY TOKYO HOCKEY」の3位決定戦でマレーシア代表(同12位)と対戦。前半終了間際に先制点を許したが、後半に6得点を奪い、6-1で逆転勝利。今大会を3位で終えた。
(0-0/0-1/5-0/1-0)

厳しい日差しの中、9時30分に試合開始 写真/金子周平

厳しい日差しの中、9時30分に試合開始 写真/金子周平

【得点者】
29分 FG SAABAH Shahril
32分 PS 膳棚 大剛(天理大学ベアーズ)
39分 PC 霧下 義貴(天理大学)
43分 FG 田中 健太(HGC)
44分 PC 渡辺 晃大(福井クラブ)
45分+PC 霧下 義貴
56分 PC 膳棚 大剛

サムライジャパンの出場メンバー

サムライジャパンは下記の16名が出場した。
(先発選手は「×」マーク。途中交代で出場した選手は最初にピッチに立った時間を表記)

No. Po. 名前 先発 チーム 所属
1FW山﨑 晃嗣3滋賀クラブ(株)SCREENホールディングス
4MF三谷 元騎X福井クラブ越前町役場
5MF田中 世蓮X岐阜朝日クラブ(公社)ぎふ瑞穂S ※
6MF落合 大将4LIEBE栃木北関東綜合警備保障 (株)
7FW村田 和麻X小矢部RED OXNPO法人おやべスポーツクラブ
9FW田中 健太XHGC HC
12MF永井 祐真4岐阜朝日クラブ
13DF山下 学X小矢部RED OX(株)とやまアイホーム
17FW福田 健太郎X岐阜朝日クラブ(公社)ぎふ瑞穂S ※
20DF大橋 雅貴XLIEBE栃木北関東綜合警備保障 (株)
21FW和久利 裕貴X福井クラブ福井県庁
25DF山田 翔太X岐阜朝日クラブ(公社)ぎふ瑞穂S ※
29DF膳棚 大剛X天理大学ベアーズゴールド (株)
30GK吉川 貴史X岐阜朝日クラブ(公社)ぎふ瑞穂S ※
31FW渡辺 晃大3福井クラブ越前町役場
32DF霧下 義貴6天理大学天理大学

※(公社)ぎふ瑞穂S =(公社)ぎふ瑞穂スポーツガーデン

円陣を組むサムライジャパン 写真/金子周平

円陣を組むサムライジャパン 写真/金子周平

前半終了間際に失点

非常に強い日差しの中で開始された第1Q、序盤から早いテンポで攻防が続き、5分に山﨑晃嗣がシュートを試みるがDFにチェックされ打ち切ることができない。田中健太、永井祐真がドリブル突破を図るがこれもシュートまで至らない。

試合を重ねるごとに成長を見せた永井 写真/金子周平

試合を重ねるごとに成長を見せた永井 写真/金子周平

15分、マレーシアに右サイドを崩されペナルティーコーナー(PC)を与えてしまうがマレーシアのタッチシュートに対してGK吉川貴史が驚異的な反射神経でセーブ。0-0で第1Qを終える。

好セーブを見せた吉川 写真/金子周平

好セーブを見せた吉川 写真/金子周平

ボールを奪いに行く落合大将 写真/金子周平

ボールを奪いに行く落合大将 写真/金子周平

暑さの影響で通常2分のクオーター間の休憩は4分に延長された。迎えた第2Qは日本が積極的な攻撃を見せる。2本のPCを取得し、膳棚大剛、霧下義貴がドラッグフリックシュートを打つが相手に阻まれ、渡辺晃大、村田和麻がリバウンドに反応するもゴールを奪えない。前半終了間際の29分、右サイドを崩された日本はSAABAH Shahrilにヒットシュートを決められ、先制点を与えてしまう。嫌な時間帯に失点し、0-1で前半を折り返す。

ゴールを決めたSAABAH Shahril(右) 写真/田中勝吾

ゴールを決めたSAABAH Shahril(右) 写真/田中勝吾

後半は日本のゴールラッシュ

第3Q開始直後にマレーシアに攻め込まれリバースヒットを打たれるがGK吉川が勇気ある飛び出しで好セーブ。直後の32分、日本が攻め込みペナルティーストローク(PS)を取得。膳棚が相手GKの意表をつくシュートを決め、1-1の同点に追いつく。

膳棚が同点ゴールを決める

膳棚が同点ゴールを決める 写真/金子周平

さらに39分、右サイドを細かいパスワークで崩した日本はこの日4本目のPCを獲得。霧下がドラッグフリックシュートをゴール右下に決めて2-1と逆転する。勢いに乗る日本は43分、スピードに乗ったパスワークで福田健太郎、田中世蓮とつなぎ、最後は田中健太が滑り込みながらボールをゴールに流し込み追加点。44分には、PCのチャンスで渡辺晃大がリバウンドを押し込み、45分+には霧下がドラッグフリックシュートでゴールを決め、さらにリードを広げて5-1で第3Qが終了する。

ゴールを決めた田中 写真/金子周平

ゴールを決めた田中 写真/金子周平

リバウンドを押し込む渡辺 写真/金子周平

リバウンドを押し込む渡辺 写真/金子周平

曇り空の中で迎えた第4Q、村田がヒットシュートを打つが、ゴール左に外れ、ファーポストの選手も触ることができない。マレーシアも応戦し、右サイドを打開したのちにシュートを打つがゴール左に外れる。55分、右サイドを崩して福田がPCを取得し、これを膳棚がゴール右下に決め6-1。その後はスコアが動かず、日本が勝利し、今大会を3位という結果で終えた。

試合の振り返り

マレーシアは今大会に主力数名が参加していないこと、そしてこの試合では控えGKを起用してきたことを考慮すると日本は確実に勝利したい試合。前半は日本が攻めながらもなかなかゴールを奪えず、終了間際に失点するという嫌な流れで終えてしまった。

後半3分に膳棚が得点をあげた以降は日本の肩の力が抜け、マレーシアの動きはだんだん鈍くなってきた。山下が「合宿で鍛えてきた」と語る運動量を武器にゲームを支配。今大会4戦目にしてやっと初めてのPCの得点が生まれたこともチームに勢いをもたらし、第3Qだけで一気に5得点。第4Qにも追加点を奪い、6-1という大差で勝利した。

大会の最終戦を勝利で終えたこと、また、前半より後半と尻上がりに調子をあげたことは次につながる戦いだったと言えるが、多くの選手がコメントしたように「前半の出来が悪い」という課題が残った。

また、「うまくいかない時間帯はメンタリティの部分の問題」と多くの選手が口にした。精神的にも戦術的にもチームとしてまとまって戦える時間帯はいいプレーができるが、バラバラになってしまう時間帯も少なからずあった。

加えて、今大会はホーム開催だがその雰囲気に順応できていない選手が見受けられたのも事実。日本国内でホッケーの国際大会が開催されることは珍しく、今回は大井ホッケー競技場のこけら落としイベントということで注目度が高かった影響もあったのかもしれないが、来年のオリンピック本番の注目度や会場の雰囲気は今大会の比ではないだろう。どんな状況でも自分たちのプレーを発揮できるメンタリティを鍛えていく必要がありそうだ。

チームとして今回のテストイベントでは苦い経験の方が多かったかもしれないが、本番と同じ会場で国際大会を経験できたことはアドバンテージ。オリンピックまであと1年弱。選手たちには「テストイベントの悔しい経験があったから、オリンピックで結果を残せた」と語れる未来を作るべく、悔いのない1年を過ごしてもらいたい。

3位となったサムライジャパン 写真/金子周平

3位となったサムライジャパン 写真/金子周平

選手・コーチのコメント

■2得点をあげた膳棚

「(2得点について)PSは全然緊張はしていなかったんですけど打つときに左手が滑って。左中段を狙ったんですけど。PS,PCともにスティックにボールが乗り切らなかったかな、と。PCを打つ場合は波があってはいけないと思うので、そこで絶対決められるように、そういうフリッカーになりたいです。(言い直して)なります。

(今後に向けて)個人的にはPCが課題。パワーと決定力を高めていきたい。チームとしては組織的に動いてプレーしていきたい」

ドラッグフリックを打つ膳棚 写真/金子周平

ドラッグフリックを打つ膳棚 写真/金子周平

■豊富な運動量で攻守に貢献した田中(世)

「(日本でやる国際大会について)知っている人がたくさん見ているので、海外の国際試合とは違う感覚がありますね。「見られている」という感じが。昨日(インド戦)もめちゃくちゃ緊張しましたし。

ニュージーランドくらいの相手には勝ち切らないとさらにその上の相手とは戦えないと思います。チームとして今大会、前半が悪くて後半よくなることが多かったので前半からエンジンがかかるように、失敗してもすぐに切り替えられるメンタルを持って、簡単なパスでシンプルにやっていきたいです。

(今後に向けて)この週末は国体予選もあるので、その後、うまくリカバリーをして次の代表活動に臨みたいです」

■キレのある動きを見せた福田

「(大会を通じて)サークル内のプレーを練習で取り組んできて、随所に、得点の部分では(練習の成果を)出せたかなと思います。

ディフェンスの部分で1対2の数的優位を作って囲んで(ボールを)取るというのはもう少し成熟してチームとしてやらないといけないかなと思います。(大会を通じた自己評価は)80点くらいかな」

スピードあるドリブルで活躍した福田 写真/田中勝吾

スピードあるドリブルで活躍した福田 写真/田中勝吾

■FW出場でゴールを決めた田中(健)

「前半にチャンスがすごいあって、そういうところで決められないとああなって(失点)しまう。こういう試合をしていたらオリンピックでは流れを戻すことは難しいと思う。前半から後半のようなプレーができるようにしたいです。

(ゴールシーンについて)世蓮の位置も見えていたし、相手のGK、DFの全部の位置を見えていたので、自分のポジショニングだけ意識してあそこのポジショニングを取れていたのでそれはよかったと思います。

(大会を通じた自己評価は)60点くらいかな、70点はつけられないですね」

ドリブル突破する田中(健) 写真/田中勝吾

ドリブル突破する田中(健) 写真/田中勝吾

■中盤でゲームメイクした三谷元騎

「(日本での国際大会について)日本で試合ができるのは環境としてやりやすい。日本でやるからと言ってやりにくいという感覚はないです。インドの大会(2019年6月のFIHシリーズファイナル)では日本の食事をたくさん持って行って対応した。それと比べて、食事面も含めて日本で試合ができる方がいいですね」

試合後、ミックスゾーンへ移動する三谷(中央) 写真/金子周平

試合後、ミックスゾーンへ移動する三谷(中央) 写真/金子周平

■3Dドリブルで攻め込んだ和久利

「(日本での国際大会について)国際大会は海外でやることが多いので、海外でやることの方が当たり前に感じていて。海外の試合の方が雰囲気にも慣れている気がします。日本でやることがホーム、という感覚がまだあまりなくてやりにくい部分もある。

(今大会を通じた自己評価は)50点くらい、ですかね」

ライン際で競り合う和久利 写真/金子周平

ライン際で競り合う和久利 写真/金子周平

■山下「メンタリティ」に課題

「ファーストハーフでバタバタして自分たちの思うプレーができなくてどうなるかと思ったが、相手がバテてきて、自分たちがやってきたこと、フィジカル面でタフな練習をしてきた成果がこうやって最後の局面で出たことはよかったと思います。けど、やっぱり最初からこれをやらないと、(20日の)インド戦のように失点してしまうと追いつけなくなる状況になると思うので、今後の課題になるかな、と。

(今後の課題について)メンタリティのところ。自信を持って自分たちがやるべきことを個人が責任を持ってやれるか。バラバラになってしまうと弱いけど、チームとして戦えれば強いという印象があるから、そこをしっかりみんなが(同じように)思えばいいチームになると思います」

チームを統率した山下 写真/金子周平

チームを統率した山下 写真/金子周平

■PCのリバウンドボールを押し込み追加点を決めた渡辺

「(得点について)前半はリバウンドのシュートを2回ミスして失敗しているので3回目にチャンスをしっかり決められて良かったです。前半が自分的には悪くてチームも流れが悪かったんですけれど後半立て直せたので良かったなと。PCは昨日夜遅くまでベストなコーナーをするにはというミーティングをして、(味方の)フリッカーの特徴なども話したのでそれがうまくいきました」

■好セーブ連発のGK吉川

「素直に嬉しいです。勝って終われたことが嬉しい。先制点はマレーシアだったが、悪く考えているつもりもなくてポジティブにつなげようと。シュートまではいけていて、決定力に欠けていただけだったので後半は流れが絶対来ると思っていました。

(オリンピックに向けて)今大会はイージーミスが多かったので、そういうところは無くしていかないと。あとはメンタルも強化していかないといけないと思います」

勝利で試合を終え、笑顔を見せる吉川 写真/金子周平

勝利で試合を終え、笑顔を見せる吉川 写真/金子周平

■PCから2ゴールを決めた霧下

「PCを2本決められたことは素直に嬉しいです。自分が打つのは今日の作戦でした。これまであまり大会で打ってきておらず、他の二人(膳棚・山田翔太)がやってきていたのでマークされてなく、コースもあった。(今後に向けて)もっと質の高い安定したプレーができようにしないといけないと思っています。本番で力を発揮できるよう自分に負けずに努力したいと思います。

(応援してくれた家族について)いつも応援してくれているんですけど、良い姿、得点した姿を見せられていなかったので今日の試合で得点する姿を見せられてよかったかなと思います」

2ゴールの活躍を見せた霧下(右) 写真/金子周平

2ゴールの活躍を見せた霧下(右) 写真/金子周平

■3位で大会を終えたアイクマンヘッドコーチ

(今日の試合に関して)難しいゲームになった。前半は、選手たちに疲れもありミスが多かったが、後半からは、パスコースをうまく作りゲームをコントロールできた。今までに1Qで5得点の大量得点はなかったので、ビューティフルなゲームができたと思う。

(大会を通じて)5日間で4試合を行う状況で、体力的にキツかったと思うが、選手たちは戦ってくれたと思う。日本よりランキング上位国との対戦でしたが、全て勝利し、オリンピックまでの残り1年間をサポートしていただけるような素晴らしいゲームをしようと臨みました。興味を持っていただけるような試合ができたと思う。

(今大会はPCであまり決められなかったが)昨日PCについてミーティングをしました。選手たちには、今までにPCからゴールを決めた映像を見せ、自信を持ってプレイしなさいと伝えた。PCを教えている山堀コーチが、フリッカーたちに自分の強みは何かを今一度考えさせて自信をつけさせました。その成果が出たと思う。

(今大会の結果からオリンピックまでに必要だと感じたことはあるか)オリンピックまでにこのピッチで毎日練習することです。このピッチで生活するぐらい慣れることが必要だと思う。

ユーモアを交えながら試合後の記者会見に応じたアイクマンコーチ 写真/金子周平

ユーモアを交えながら試合後の記者会見に応じたアイクマンコーチ 写真/金子周平

決勝はインドが圧勝

ニュージーランド 0-5 インド

3位決定戦に続いて12時から開始された男子・決勝戦は前半インドが5得点をあげてニュージーランドに大差をつける。後半もスコアは動かずに第4Qへと進み、試合終了まで約11分を残した状況でニュージーランドがパワープレーを選択。

しかし、両チームともにゴールを奪うことができず、0-5でインドが勝利。今大会の優勝国となった。また、大会通算6得点を決めたインドのSINGH Mandeepが得点王だった。

平均年齢23歳のチーム編成で優勝したインド 写真/金子周平

平均年齢23歳のチーム編成で優勝したインド 写真/金子周平

男子・最終順位

優勝:インド(5)
2位:ニュージーランド(8)
3位:日本(16)
4位:マレーシア(12)
(カッコ内は世界ランキング)

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