さくらジャパン、大井ホッケー競技場初の国際大会は準優勝/東京2020テストイベント「READY STEADY TOKYO HOCKEY」

2019.08.21 | 日本代表

ホッケー女子日本代表さくらジャパン(世界ランキング14位)は8月21日(火)、大井ホッケー競技場ノースピッチで行われた東京2020オリンピックテストイベント「READY STEADY TOKYO HOCKEY」の決勝戦でインド代表(同10位)と対戦。清水美並がゴールをあげたが、1-2で敗れ、今大会を2位で終えた。
(1-1/0-0/0-1/0-0)

緊張感のある雰囲気の中、19時45分に試合開始 写真/金子周平

緊張感のある雰囲気の中、19時45分に試合開始 写真/金子周平

【得点者】
11分 FG KAUR Navjot
12分 FG 清水美並(ソニーHC)
33分 PC LALREMSIAMI

さくらジャパンの出場メンバ―

さくらジャパンは下記の16名が出場した。
(先発選手は「×」マーク。途中交代で出場した選手は最初にピッチに立った時間を表記)

No. Po. 名前 先発 チーム(所属)
1GK景山 恵XソニーHC
5DF浅井 悠由Xコカ・コーラ
7DF小野 真由美X(所属先:SOMPOケア(株))
8MF真野 由佳梨XソニーHC
9FW永井 友理XソニーHC
10MF永井 葉月XソニーHC
11DF及川 栞4東京V((株)岩手めんこいテレビ)
12FW野村 香奈2南都銀行
13DF孤塚 美樹XGSK
15MF石橋 唯今Xぎふ朝日(ホンダロジコム(株))
16MF金藤 祥子3コカ・コーラ
20FW清水 美並XソニーHC
22FW河村 元美3コカ・コーラ
26DF鈴木 美結X山梨学院大学
28FW三橋 亜記Xコカ・コーラ
29MF尾本 桜子3山梨学院大学

<チーム名>
コカ・コーラ=コカ・コーラレッドスパークス
ソニーHC=ソニーHC BRAVIA Ladies
南都銀行=南都銀行 SHOOTING STARS
GSK=グラクソ・スミスクライン Orange United
ぎふ朝日=ぎふ朝日レディース
東京V=東京ヴェルディホッケーチーム

観客を魅了する激しい攻防

湿度は高いものの日中に比べると過ごしやすい気温で開始された第1Q、序盤から両チームがシュートを打ち合う激しい攻防を見せる。11分、日本のスクープパスを奪ったインドが左サイドをパスで崩し、KAUR Navjotがリバースヒットを決めて先制点をあげる。

シュートを放つインド 写真/金子周平

シュートを放つインド 写真/金子周平

追いつきたい日本は直後の12分、右サイド23m付近から小野真由美がセンタリングを打ち込み、インドDFが弾いたボールに反応した金藤祥子がダイレクトでサークル内に浮いたパスを入れる。このパスを清水美並がうまく合わせてダイレクトシュート。相手GKが反応できない見事なシュートで同点に追いつき、1-1で第1Qを終える。

得点を決めた清水(左) 写真/中村雄紀夫

得点を決めた清水(左) 写真/中村雄紀夫

第2Qも激しくせめぎ合い、17分には日本が左サイドを清水、金藤、河村元美、野村香奈が早いテンポの華麗なパスワークで崩し、サークル侵入。最後は河村がシュートを打つがゴール上に外れて得点には至らない。

積極的な攻撃を見せた河村 写真/金子周平

積極的な攻撃を見せた河村 写真/金子周平

23分にはインドの17歳DEVI Sharmilaがドリブルで切り込むがシュートは右に外れる。25分に浅井悠由が力強いセンタリングを打ち込み、ボールを受けた真野由佳梨がリバースヒットを放つがこれも決まらず、1-1のまま前半を折り返す。

インドの粘り強い守備

風が出てきた第3Q、インドが33分に右エンドライン際をドリブルで攻め込みペナルティーコーナー(PC)を獲得。17日の開幕戦で日本からゴールを決めているドラッグフリッカーKAUR Gurjitからのシュート性のパスをLALREMSIAMIがリバースタッチで華麗に決めて、1-2とインドがリードする。

▼インドのゴールシーン

リードを奪ったインド 写真/金子周平

リードを奪ったインド 写真/金子周平

さくらジャパンの奮起を期待し、観客席から「ニッポンコール」が響く中、日本は40分にPCを獲得するが得点につなげることができない。その後もスコアは動かず1-2で第3Qを終える。

勝負の第4Q、同点に追いつきたい日本だが、インドペースで試合が進み、48分にPCを与えてしまう。このピンチは小野が防ぎ、難を逃れるがその後も日本はなかなかチャンスを作れない。54分、日本はGKを下げてパワープレーに出る。57分、右サイドを崩した日本はPCを取得したが野村のシュート性のパスに対して味方はうまくスティックで触ることができず、ゴールの左に外れてチャンスを逃す。

PCのシュートを放つ野村 写真/中村雄紀夫

PCのシュートを放つ野村 写真/中村雄紀夫

その後もインドの粘り強い守備を打破できず、1-2で試合終了。さくらジャパンは2位で大会を終えた。

試合の振り返り

立ち上がりから両チームとも気持ちの入った激しいプレーを見せ、観客席からは歓声とため息が何度も響くような見応えのある試合を展開。前半はインドに先制点を許したが、その後すぐの時間帯に清水がゴールを奪い返したことは評価でき、プレッシャーのかかった舞台でも高いパフォーマンスを発揮した。両チームの白熱した戦いにつられるように観客からの声援も大きくなり、前半を終えた際は大きな拍手が送られた。

観客を魅了した決勝戦 写真/中村雄紀夫

観客を魅了した決勝戦 写真/中村雄紀夫

勝利に向けて追加点が期待された後半だったが、インドの動きがよく、また得点シーンのPCでは日本の裏をかいてタッチシュートでゴールを決めるなど、戦術もうまくはまっていた。日本のアンソニーコーチが「インドの1対1のディフェンスが良かった」と述べたとおり、守備の面でも粘り強いDFで日本の攻めを凌ぎ続け、後半は日本に対してシュートチャンスをなかなか作らせなかった。日本は前半に比べると後半はやや動きのキレが衰え、球際でインドに競り負けたり、スクープも含めてパスが正確ではなかったりと、ミスが目に付くようになった。

あと1点が遠かったさくらジャパン 写真/中村雄紀夫

あと1点が遠かったさくらジャパン 写真/中村雄紀夫

実力的には決して勝てない相手ではないが、決めるべきときに決める力については今大会はインドに軍配が上がったと言えるだろう。日本は今大会4試合を戦って6得点をあげたがその内訳はすべてフィールドゴール。PCからの得点がゼロだったことも今後の課題の一つになりそうだ。

PCの攻撃が課題か 写真/中村雄紀夫

PCの攻撃が課題か 写真/中村雄紀夫

大井ホッケー競技場での初の国際大会は2位という結果となり、優勝を目指していたさくらジャパンにとっては納得のいかない結果だったはずだが、彼女たちの戦う姿勢は初めてホッケーを観戦した人を含めて、多くの観客たちを魅了したように感じた決勝戦でもあった。来年の東京オリンピックに向けてさらなる強化を期待したい。

大会を2位で終えたさくらジャパン 写真/金子周平

大会を2位で終えたさくらジャパン 写真/金子周平

試合後の監督・選手のコメント

■アンソニー・ファリーヘッドコーチ

「(インドが上回っていた点はなにか)1対1のディフェンスが上回っていたし、ボールポゼッションのコントロールも相手の方ができていた。インドは数少ないペナルティーコーナーでのチャンスから確実に得点を決めていた。

(テストマッチを終えての課題は)今大会では様々なフォーメーションを試しながら、状況判断力を強化することを目標としていた。ディフェンス面ではよく頑張っていたし、ストライカーの動きもよくなってきている。優勝はできなかったが、ポジティブに受け止めている。

(清水の得点について)あのような難しい場面で得点を決めることは簡単ではない。感動的だ。ボールを浮かした3Dドリブルが得意で自由自在にドリブルできる。この2、3カ月は空中をうまく使った得点が多く、チャンスを常に狙っているような印象をもっている」

さくらジャパンのアンソニーコーチ 写真/金子周平

さくらジャパンのアンソニーコーチ 写真/金子周平

■チームキャプテンの真野

「(いまの気持ちは)結果を出せなかったことはとても悔しい。私たちの目標は東京オリンピックで金メダルをとることなので、切り替えてレベルアップしていきたい。

(今日の課題は)中盤でのボールポゼッションを高めることができなかった。プレッシャーを受けている状態でも前を向く技術力を高めていきたい。

(どのようなキャプテンになりたいか)チームにバランスをもたらすキャプテンでありたいと思う」

ボールをキープする真野 写真/金子周平

ボールをキープする真野 写真/金子周平

■得点を決めた清水

「(今大会を振り返って)東京オリンピックと同じピッチでプレーできる大会だったので、自分たちの力を試す貴重な機会だった。納得のいくプレーができなかったことが反省点。1年後は私たちが目指している優勝で終えることができたらよいと思う。

(今日の課題は)イージーミスが目立った。ペナルティーコーナーの決定率も上げていかなければならないと思う」

攻撃の軸として活躍した清水 写真/金子周平

攻撃の軸として活躍した清水 写真/金子周平

■フレッシュなパワーで大会を盛り上げた現役大学生、尾本桜子

「2位ですごい悔しいです。めっちゃ悔しいです。第2Q、第3Qの動きがあまり良くなかった。(今大会を通した自己採点は)うーん、50点くらい。

最初の2戦が緊張で固くなってしまった。重圧感に負けてしまったと思う。このピッチに立たせてもらうという嬉しさもありました。

オリンピックまではゲームメイク力を上げて他のチームメイトから信用してもらえるよう頑張っていきたいです」

第3戦・対オーストラリアでドリブル突破する尾本 写真/田中勝吾

第3戦・対オーストラリアでドリブル突破する尾本 写真/田中勝吾

■キレのあるドリブルを見せた石橋唯今

「(2位という結果について)実力的にはしょうがなかったというか、やっぱりインドとの違いを見せつけられてしまったかなと思います。

(今大会を通じた自己評価は)60点くらいですかね。たとえばターンオーバーしたときに自分で切り込んでいくのか、パスにシフトするのか、と考えたときに監督はパスにシフトしろと言っている。自分の強み(ドリブル)を活かすのか、チームの戦術を優先するのかを模索中です。

(今後の課題は)前に行く力が欲しいですね。もっとアグレッシブなMFになりたいです」

ドリブルで会場を沸かせた石橋 写真/金子周平

ドリブルで会場を沸かせた石橋 写真/金子周平

■来年のオリンピックへ向け前を向く永井(友)

「PCの精度は大事。インドと同じくらいPCを取ったのに決めきれなかったことが勝敗を分けたかな。フィールドで点を取れたことは良かったけれど、大きな大会になるとPCの決定力は影響してくるので、課題はクリアしていきたいです。

リオオリンピックの時は自分では緊張していないと思ったけれど、ピッチに立ったら身体が動かないくらい見えないプレッシャーを感じていました。オリンピックの舞台で120%の力を発揮できるように準備していくつもりです。来年のオリンピックでは初めて出る子にはカバーして声をかけていきたいと思っています」

■大会を通じて好セーブを何度も見せた景山

「(2位という結果について)このホームで優勝できなかったことはとても残念です。この場所で(試合を)できたことはとてもよかったと思うのですが、最後は結果がすべてだと思うので悔しいです。

(今後の自分の課題は)ゴール前まで通ってきたボールのセーブだったり、世界の強豪国にはPCのドラッグフリッカーがたくさんいますので、そのドラッグフリックに対して自分が止められる範囲を広げていきたいです」

試合前に集中力を高める景山 写真/金子周平

試合前に集中力を高める景山 写真/金子周平

■PCの守備でゴールを守った小野

「(チームの状況について)チームパフォーマンスに波があるかな、と。自分たちのプレーができるときとできないときがある。いつもつながっていたパスをつなげられなかったということは相手を見て状況判断ができていないということだと思うので、相手からのプレッシャーがかかった状況でもその状況を判断する力を身に付けていきたい。

(相手のPCのシュートを防いだ場面について)実際は身体にボールが当たったんですけど審判に気付かれなくてラッキーだった。身体をはってポストマンとしての役割を果たせたかなと思う」

■背番号を変えて大会に臨んだ及川栞

「(大会を振り返って)今日は大会4試合の中で一番体調がいい状態で試合に臨めた。20日のオーストラリア戦では体調があまりよくなかった。体調管理の面で、いつも通りじゃなかった試合もあったのでもっと計算してやっていきたい。1対1の守備であったり、アグレッシブなDFは自分の持ち味でそこは全4試合トライができたかな、と思います。

(今大会から背番号が11番に変わったのは)リオ五輪に行けなくてその悔しさがあってオランダに行ったときに、東京五輪にチャレンジしたいという想いを持つきっかけを与えてくれたのがクラブのチームメートの11番の選手だった。彼女もオランダ代表を目指してプレーしていたが東京五輪には行けないことが決まってしまった。彼女の想いも背負って東京五輪を戦いたいと思って11番を選んだ」

背番号変更への想いを語った及川 写真/金子周平

背番号変更への想いを語った及川 写真/金子周平

3位決定戦の試合結果

中国 1-3 オーストラリア

3位決定戦は世界ランキング2位のオーストラリアが同11位の中国に勝利し、今大会3位となった。

3位となったオーストラリア 写真/金子周平

3位となったオーストラリア 写真/金子周平

最終順位

優勝:インド(10)
2位:日本(14)
3位:オーストラリア(2)
4位:中国(11)
(カッコ内は世界ランキング)

上位3チーム合同での記念撮影 写真/金子周平

上位3チーム合同での記念撮影 写真/金子周平

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