2019.08.20 21:19 | 日本代表
ホッケー女子日本代表さくらジャパン(世界ランキング14位)は8月20日(火)、大井ホッケー競技場ノースピッチで行われた東京2020オリンピックテストイベント「READY STEADY TOKYO HOCKEY」の第3戦でオーストラリア代表(同2位)と対戦。さくらジャパンは2点先取したが逃げ切ることができず、2-2の引き分けに終わった。
(0-0/1-0/1-1/0-1)
【得点者】
26分 FG 三橋 亜記(コカ・コーラ)
32分 FG 野村 香奈(南都銀行)
33分 PC LAWTON Amy
54分 FG COMMERFORD Kalindi
さくらジャパンは下記の16名が出場した。
(先発選手は「×」マーク。途中交代で出場した選手は最初にピッチに立った時間を表記)
No. | Po. | 名前 | 先発 | チーム(所属) |
---|---|---|---|---|
1 | GK | 景山 恵 | X | ソニーHC |
5 | DF | 浅井 悠由 | X | コカ・コーラ |
7 | DF | 小野 真由美 | X | (所属先:SOMPOケア(株)) |
8 | MF | 真野 由佳梨 | 5 | ソニーHC |
9 | FW | 永井 友理 | X | ソニーHC |
10 | MF | 永井 葉月 | X | ソニーHC |
11 | DF | 及川 栞 | X | 東京V((株)岩手めんこいテレビ) |
12 | FW | 野村 香奈 | X | 南都銀行 |
13 | DF | 孤塚 美樹 | X | GSK |
15 | MF | 石橋 唯今 | 4 | ぎふ朝日(ホンダロジコム(株)) |
16 | MF | 金藤 祥子 | X | コカ・コーラ |
20 | FW | 清水 美並 | 3 | ソニーHC |
22 | FW | 河村 元美 | X | コカ・コーラ |
26 | DF | 鈴木 美結 | 4 | 山梨学院大学 |
28 | FW | 三橋 亜記 | 9 | コカ・コーラ |
29 | MF | 尾本 桜子 | X | 山梨学院大学 |
<チーム名>
コカ・コーラ=コカ・コーラレッドスパークス
ソニーHC=ソニーHC BRAVIA Ladies
南都銀行=南都銀行 SHOOTING STARS
GSK=グラクソ・スミスクライン Orange United
ぎふ朝日=ぎふ朝日レディース
東京V=東京ヴェルディホッケーチーム
ゲーム開始30秒、野村香奈がパスカットしサークルイン。さくらジャパンの積極的な攻撃が見られる。さらに、その1分後にも河村元美にパスが渡り、得意のリバースヒットでシュートを狙うが惜しくもうまく当たらずシュートにならない。
日本のペースで試合が進むが、オーストラリアが1回のチャンスからペナルティーコーナー(PC)を得る。オーストラリアのパワフルなフリックシュートをゴールキーパー景山恵が左手でセーブ。防具が飛んでいくほどのパワーだった。リバウンドボールも鋭いシュートが放たれるが、防具が外れた景山はそのまま素手でセーブ。観客席からは拍手と歓声が沸いた。第1Qは両チーム無得点に終わる。
雨があがった第2Qはシュートを打ち合う激しい攻防となり、24分には河村が決定機でヒットシュートを放つもゴール右外に外れる。26分には永井友理のパスをサークルトップで受けた三橋亜記がスピードあるターンで相手を交わしてプッシュシュートを押し込み、日本がついに先制する。
前半を通じて再三のピンチがあったが景山が落ち着いたセーブを見せて乗り切り、前半は1-0と日本がリードで終える。
日本のセンターパスで開始された第3Q、立ち上がりから攻め込む日本は32分、永井(友)が3Dドリブルで右エンドライン際を崩し、中にいた永井葉月が競り合いに勝ってパスをゴール前へ。セカンドパスで待ち構えていた野村がGKの動きをよく見てプッシュシュートで押し込み、2-0とリードを広げる。
オーストラリアも負けじと34分にPCを取得し、17歳のLAWTON Amyが見事なリバースタッチシュートを決めて1点を返す。その後は両チームにカードが出される激しい攻防が続くが得点はなく、2-1と日本のリードで第3Qが終了する。
過ごしやすい気温となった第4Q、序盤にオーストラリアがシュートを打つが景山が好セーブで防ぐ。日本も53分に野村が単独ドリブルで攻め込むがリバースヒットはバックスティックの反則でチャンスを活かしきれない。直後の54分、オーストラリアにサークル内でパスをうまくつながれ、最後はCOMMERFORD Kalindiがシュートを決めて同点となる。試合終了3分前にオーストラリアはGKを外してフィールドプレイヤー11人のパワープレーに出るが、その後はお互いに得点を取れず2-2の引き分けで試合が終了した。
2戦を終えて1勝1敗だった日本はオーストラリア戦で勝利すれば自力で決勝進出を決められたが、2点のリードを守り切れず、引き分けに終わってしまった。2点リードを奪うまではチームとしていい戦い方が出来ていたが、2点目を取った直後に失点したことは課題の一つになるだろう。
オーストラリアは世界ランキング2位だが今大会の出場メンバーは「2/3くらいの戦力」(永井(友))でベストメンバーではないようだ。日本は追加点を奪えるチャンスを何度も作りながらも得点できなかったこと、サークルに侵入しながらもPCの取得数が少なかったことで流れが徐々にオーストラリアに傾き、54分の失点につながったと考えられる。
結果的に日本戦のあとに行われた中国対インドが0-0の引き分けに終わったことにより、さくらジャパンは決勝進出を決めることができたが、他力での決勝進出に対して選手たちは満足していないだろう。
明日の決勝戦では開幕戦で敗れたインドと再び対戦する。大井ホッケー競技場初の国際大会で優勝できるかどうかで、今後のホッケーへの注目度も大きく変わる。さくらジャパンが笑顔で大会を終えることに期待したい。
■怪我からの復帰で今日もゴールを決めた三橋亜記
「(得点については)立ち上がりから自分たちでチャンスを作って惜しい場面がたくさんあった中でなかなか決めきれなくて、オーストラリアは1回の攻撃のチャンスからペナルティーコーナー取られて嫌な時間もあったんですけれど、その中でサークル内で結果を残せたことは良かったです。
(怪我について)徐々にですけれどよくなってきている。代表自体が久しぶりなので、周りのみんなとコミュニケーションを取って細かいところまで詰めていけば、自分自身パフォーマンスも上がるし、周りのみんなを生かすパフォーマンスができると思うので、もっとコミュニケーションを取っていきたい」
■とにかく決定力と話す永井葉月
「攻撃の面で今までの試合の中では良かったけれど、得点ができないところが自分たちの課題だなと。勝ちにつなげるためにはとにかく得点。あれだけチャンスあって2点しか決められていないので。決定的なチャンス、あと3点くらいは決められたんじゃないかなと思うので」
■ゴールを決めた野村香奈
「(ゴールシーンを振り返って)永井葉月選手のセンタリングが右から入ってきて、逆サイドで待っていたんですけど、ボールがちゃんと通ってきて、狙い通りのシュートになりました。レシーブがすこし流れてダイレクトで打てなかったんですけどよく見て上を狙って決めました。
(試合には)全員で勝って決勝進出をつかみ取ろうと話をしていた。オーストラリアのフルバックの選手にスクープをあげさせないような守備の戦術で、奪って攻めようと考えていた。形的にはいいものもあった。
広島合宿からDFではなくFWでプレーしていますが、置かれたポジションで全力でやっていきたいです。(明日は大会最終日だが)地元の大会なので、しっかりとケアをしてミーティングをして準備していきたいと思います」
■今大会初出場の浅井悠由
「(ピッチに立ってみて)はじめは緊張していたんですけど、立ち上がりは自分の思っていた以上に自分の中でコントロールできたかな、と思います。後半、しんどくなってきたときにパスミスとか、コントロールできない部分があったので次はもうちょっと修正して、ライトからしっかり攻めて得点を取れるようにもっと貢献していけたらいいなと。(今日のプレーを100点満点で表すと)50点もいっていないと思います。
1失点目はPCからで、アゲインになってからの失点だったので仕方ない部分もあったかもしれないが、2失点目はDFから前線に声をかけて下がらせる声とか、危ないところを防ぐ声とかをもっとDFで徹底していかないとだめだと思いました。
明日は自分たちのプレーをして必ず勝てるように、チーム一丸となって、自分の力を100%出せるように頑張っていきたいと思います」
■好セーブを連発したGK景山
「(試合を振り返って)この試合で勝って確実にファイナルを決めたかったので悔しいですね。(好セーブが多く見られたことに関して)ちょっと前までは味方に声をかけすぎて自分のことにフォーカスできていなくて失点することもあったんですけど、今大会は自分のやることをやる、自分のことにフォーカスしてやることを決めているので集中してできました。
(素手でセーブしたことについて)雨でグローブが滑ったのと味方と交錯してしまってグローブが抜けた。グローブが抜けたのはわかっていて、そのままボールは残っていたので私はあの瞬間は手でも怖くなかったので手が反応しました」
スーパーセーブに歓声
— マイホッケー(MY HOCKEY) (@myhockeyjp) August 20, 2019
ペナルティーコーナーを素手で止めた景山恵#ホッケー #さくらジャパン pic.twitter.com/czDCpXreFe
■アンソニー・ファリーヘッドコーチGK景山について「ファンタスティック!」
「(オーストラリア戦を振り返って)機会を失ってしまったというのが最も大きい。一つ一つの機会を活かしていかないといけない。
(ゴールキーパーの景山恵について)ファンタスティック!今日の試合に限らず良い動き。ゴールキーパーを入れ替えることも考えたが、とても動きが良かったのでしなかった」
中国 0-0 インド
■東京2020テストイベントの大会ページはこちら
■オリンピック特集ページはこちら