2020.08.30 10:30 | 海外
新型コロナウイルス感染症の影響で東京五輪の開催が2021年夏に延期となった。通常のホッケー競技の国際大会はベンチ入り人数が18名。しかし、五輪はベンチ入り可能人数が16名と狭き門で、この1年の延期がプラスに働く選手もいれば、そうでない選手も出てくるだろう。
自身を高めるべく、ひとりのサムライが海を越え、ホッケー大国・ドイツ(記事公開時の世界ランキング6位)の地へ渡った。コロナ禍で挑戦をつづけるホッケープレイヤーの姿を追う。(全3回で構成するコラムの第1回)
男子ホッケー日本代表。愛称はサムライジャパン。野球の「侍ジャパン」と混同されがちだが、ホッケーはサムライと片仮名で表記する。
2018年、インドネシア・ジャカルタで開催されたアジア競技大会に出場したサムライジャパン。優勝国には東京五輪の出場権が与えられる重要な大会で、インドやマレーシア、韓国など各国がメンバーを揃えて本気で挑んだ大会でサムライたちは快進撃を見せ、史上初の優勝を果たした。同年5月にはすでに「開催国枠」で出場権を獲得していたが、1968年のメキシコシティ大会以来の五輪出場権を自力で獲得した形となった。
マレーシアとの決勝戦は引き分けとなり、シュートアウト戦(サッカーでいうPK戦。以下、SO)までもつれたうえでの勝利だったが、シュートが決まるたびにチームメイトと明るい表情でハイタッチを交わし、チームを鼓舞していたのがサムライジャパン主将の山下学(31)だ。
国際試合出場数180以上の経験を活かして、攻守にわたり冷静な判断・プレーをし、チームをまとめる山下。大学卒業後、社会人の強豪・表示灯フラーテルホッケーチーム(当時は名古屋フラーテルホッケーチーム)でキャリアを積み、2017年途中から地元富山のクラブチーム・小矢部RED OXに移籍した。
自身のレベルを高めるため、日本代表活動、小矢部でのプレーと掛け持ちで、2018年秋には強豪オーストラリアの州対抗短期リーグ(オーストラリア・ホッケーリーグ)に参戦。2019年4月~9月は豪メルボルン・プレミアリーグのクラブ、キャンベルチルの一員としてプレーし、チームのリーグ優勝に貢献した。同年秋には再び州対抗短期リーグ(ホッケー・ワン)にも参戦した。
そんな山下が以前から口にしていた言葉がある。「海外に行きたい。特にヨーロッパでプレーしたい」。