2019.10.10 12:49 | 藤本一平コラム
こんにちは!
藤本一平です。
今回はEHLを観戦して印象に残った戦術的・技術的な点について、DFの「マーキング」とFWの「リードスキル」について紹介したいと思います。
▼前回の記事はこちら
今回のEHLは16チームが参加し、トーナメント形式で開催。2回勝ち上がった4チームが来年4月のFINAL8への進出を決めました。
残念ながら田中健太選手(以下、健太)が所属するHGC(オランダ)は初戦でイングランドのHampstead & Westminster(以下、ハムステッド)と対戦し、1-2で敗戦しました。(イギリス駐在経験のあるKさん曰く、ハムステッドは古豪クラブ)
初戦を突破したハムステッドは2回戦でドイツのMannheimer HC(以下、マンハイマー)と対戦。拮抗した試合となりましたが、マンハイマーが2-1と接戦を制してFINAL8への進出を決めました。
この2試合を観戦して感じたのはハムステッド、マンハイマーの「DFのマーキング」の意識の高さです。
両チームとも守備の際、DF陣が相手FWに密着し、マンツーマンマーキングを徹底していました。 (今回紹介するのはマンツーマンマークですが、状況によってゾーンマークの方が有効なときももちろんあります)
この動画はHGC対ハムステッドの第3Q終了間際のシーン。赤色のハムステッドがしつこいマーキング。(パソコンでご覧の方は右下の四角マーク「全画面」ボタンを押せば動画を拡大して見ることができます)
試合後、健太は「相手DFはかなりマークがきつくて身体もぶつけてきた。オランダリーグでもあまり経験しないくらいの厳しさだった」と振り返っていました。
2回戦のマンハイマー戦でもハムステッドは下の動画のようなマンツーマンDFを見せています。
こういったマークをするのが当然だと思われがちですが、いざ実行しようとするとなかなかできないものです。
単に相手の近くにいるだけではなく、身体が接触する距離を維持。相手FWの前後左右どの位置にポジションを取るかも状況に応じて微調整。
これを1試合通じて徹底するには運動量も必要ですし、自分の対面にパスを出させない!というメンタリティも必要になってきます。
ハムステッドには代表選手が数名(Harry Martin、Will Calnanら)いますが、そこまでスター選手が多いわけではないようです。HGCの方が代表クラスの選手が多く、下馬評ではHGCが勝利するという見方が多かったのですが、ハムステッドがHGCを下し、マンハイマーにも僅差の試合を展開できたのは、このマーキングによる力が大きかったのではないかと感じました。
マンハイマーもドイツのチームらしい勤勉な「タイトマーキング」を見せていました。
一方でFW側の視点に立ってみると、このマークを外さなくてはボールを受けられません。パスをもらうためのリードスキルが必要となりますが、そこは健太がお手本となる動きを見せてくれました。
0:03秒くらいの サークル内での健太のワンフェイントが効いて、相手DFのマークを外せています。
私が日本代表合宿に参加してい当時の話ですが、
元男子ホッケー日本代表ヘッドコーチの姜さん(現在、表示灯フラーテルホッケーチームのコーチ)と1対1でビデオミーティングでコーチングを受けた際、「相手DFの顔の向きを見て、自分から目を離した瞬間にリードしろ」と教わりました。今回の健太の動きもそのタイミングでリードできているように見受けられます。
フェイントのタイミング、その後のレシーブ&パスと、質の高いプレーを魅せてくれました。(と同時に味方選手、シュートを決めてくれ!と心で叫びました)
ざっくりとした紹介にはなりますが、今回は
・当たり前に知っているけど、なかなか実行するのが容易ではないマーキング
・それを交わすためのリードスキルのお手本の動き
を紹介しました。
なにかの参考になれば幸いです。次回はまた違った目線の記事を紹介できればと思います。
それではまた!
藤本一平
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